寺山修司実験映像ワールド1


・「トマトケチャップ皇帝」
ガキの裸、ババアの裸。
ガキのセックス、ババアのセックス。
全裸の若い女性をネットにして卓球するところとか、海岸で半裸の人々が手をとりあってる画が印象に残った。
一応子供の帝国が大人たちをうんぬんという物語性も保っているところもよかった。


・「鑑囚」
マッチョな男とかヤギとか、草原で踊るデブのおばさんとか。
シュールなイメージのコラージュといったところなんだろうが、なんの物語性もないままの十分強はやや退屈だった。ただ見方を変えれば、自分が退屈だと感じたことはそれ自体一つのちょっとした発見だった。違和感のあるイメージのコラージュというのは、それ自体おもしろさを感じる面もあるのだが、個人的には何の物語性もないのはやはりきつい。普段我々が自明のものと思っている、シニフィアンシニフィエの結びつきを攪乱するようなメタフィクションも、完全に無意味な記号の羅列ではないわけだし。コラージュとアサンブラージュの違いってやつか。違うかな。
まあ実験映像ってことだから、あまり物語性はなくてもいいかな、という判断なのかもしれんけど。



・「青少年のための映画入門(1)」
三つの画面で同時上映されたうちの一つらしい。三つの映像を同時に流して一つの作品、というのは最近のビデオアートなんかではよくある手法だろうが、当時はかなり革新的だったのでは。まあ当時のメディアアートについてとかなんも知らんので適当な推測だが。
ピンクの背景に寺山自身の過去を思わせるイメージが交錯する。
小学校の通知表とか、なぜか一人の生徒だけ真っ白でよく見えない集合写真とか。