2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

 熊の場所  舞城王太郎

・熊の場所この短編において描かれている「恐怖」は、「ヒミズ」、「シガテラ」といった古屋実の近作から感じられるそれと、どこか近いものであるような気がした。今作を含め、彼の作品には、福井県の架空の町「西暁」を舞台とするものが多い。福井県が彼の…

反社会学講座 パオロ・マッツァリーノ

自ら「お笑い社会学」、「統計漫談」などと称しているだけあって、もちろん本書の内容を鵜呑みに出来るはずもないのだが、社会学の手法をアイロニカルに用いることで、社会学の限界を露呈させるという手法は非常に面白かった。著者のやたらと斜に構えたスタ…

これが答えだ! 宮台真司

「まったり革命」に代表されるように、ネーミングセンスは最低だが、内容としてはまあ真っ当な感じ。セックスについてごちゃごちゃ言ってるのは、気にせず笑って読み飛ばせばいいと思う。

ファスビンダー 「何故R氏は発作的に人を殺したか?」

昨日に引き続きアテネ・フランセにて鑑賞。ラスト殺人に至ってしまうまでの主人公の心理的な動きを、淡々と描いていた。「出稼ぎ野郎」に引き続き、仕事や金と家族への愛情のバランスがとれず苦悩する人々を題材としていたが、こちらは正直全く楽しめなかっ…

ファスビンダー 「出稼ぎ野郎」

アテネフランセにて鑑賞。平日の夕方にも関わらずかなり混んでいた。愛と金の関係について考えさせられるプロットもなかなかおもしろかったが、なにより撮り方が凄まじかった。数回人物の組み合わせを変えて繰り返される、腕を組んで歩くシーンを除いて、い…

聖母エヴァンゲリオン 小谷真理

ジャーディンの発明した「ガイネーシス」(≒女性的なもの)というタームを軸に、クリステヴァ、イリガライ等の議論を援用しつつ、フェミニズム精神分析の領域からエヴァを論じている。どうせこじつけまくりなんだろうとタカをくくって読み始めたのだが、全然…

聖母エヴァンゲリオン―A new millennialist perspective on the daughters of Eve作者: 小谷真理出版社/メーカー: マガジンハウス発売日: 1997/07メディア: 単行本 クリック: 7回この商品を含むブログ (15件) を見る

バーバレラ

バーバレラ [DVD]出版社/メーカー: パラマウント ジャパン発売日: 2006/02/10メディア: DVDこの商品を含むブログ (3件) を見る おバカ映画。見所はジェーン・フォンダの色気とあまりにもチープなセットぐらい。 ジェーン・フォンダはセクシーではあるが、顔…

サブリミナル・マインド 下條信輔

サブリミナル・マインド―潜在的人間観のゆくえ (中公新書)作者: 下條信輔出版社/メーカー: 中央公論社発売日: 1996/10/25メディア: 新書購入: 29人 クリック: 110回この商品を含むブログ (78件) を見る

マエストロ

MAESTRO マエストロ [DVD]出版社/メーカー: ナウオンメディア発売日: 2005/03/25メディア: DVD クリック: 8回この商品を含むブログ (31件) を見るニューヨークのクラブカルチャー黎明期に活躍したラリー・レヴァン、マンキューソ、グラッソなどのDJ、そして…

ペンギン村に陽は落ちて 高橋源一郎

ペンギン村に陽は落ちて (集英社文庫)作者: 高橋源一郎出版社/メーカー: 集英社発売日: 1992/08/20メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (24件) を見る全体として一つの大きなまとまりとして見ることも出来るように書かれてはいるが、…

ゴドーを待ちながら サミュエル・ベケット

ゴドーを待ちながら (ベスト・オブ・ベケット)作者: サミュエル・ベケット,安堂信也,高橋康也出版社/メーカー: 白水社発売日: 1990/10メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 43回この商品を含むブログ (55件) を見る戯曲。特に第二幕がいい。退屈極まりない日…

子猫が読む乱暴者日記 中原昌也

子猫が読む乱暴者日記 (河出文庫)作者: 中原昌也出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2006/02/04メディア: 文庫購入: 4人 クリック: 12回この商品を含むブログ (32件) を見るゴミ言語をサンプリングしたら、あら不思議けっこうおもしろい小説に。

空飛ぶモンティ・パイソン1−2

最もツボだったのは、「まったく会話がキャッチボールにならない採用面接」ネタ。 あと笑えたのは、宇宙人が来て、イングランド人がスコットランド人に変えられてしまう、というネタ。ネタ自体とはなんの関係もないが、スコットランド人をいじって笑いをとっ…

ガーゴイル ドゥニ

現代版ドラキュラ。首筋を噛むぐらいでは渇きは鎮まらず、セックスして体中噛みまくって殺してようやく落ち着く、という設定。血を見るのもあまり好きではないのに、血まみれシーンのオンパレードで、きつかった。同じ渇きを持った仲間を求めてやまないもの…

ドッペルゲンガー 黒沢清

ドッペルゲンガー [DVD]出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント発売日: 2004/04/23メディア: DVD購入: 1人 クリック: 52回この商品を含むブログ (105件) を見る自己の多層性をテーマとした喜劇映画。役所広司の演技が実に素晴らしい。永作はや…

ロスト・ハイウェイ リンチ

DVDで鑑賞。 メビウスの環のような時間の流れ方といい、因果関係が全くわからない出来事の連続で構成されたストーリーといい、まさにリンチ節といった感じ。脳味噌がシェイクされているような感覚が味わえるのは、この人の作品ぐらいだろう。なぜかマリリン…

トムソーヤの冒険 マーク・トゥエイン

ピカレスク・ロマンの傑作。読みながら、どちらかといえば優等生タイプだった自分の少年時代を振り返り、なんとなく後悔。万引きぐらいしときゃよかったな、とか思ったり。暗くなるまで泥だらけになって外で遊んだ経験があまりない、というのも今考えるとも…

ホテル・ルワンダ

もともとユーロスペースのあった場所に新たに出来た映画館、渋谷シアターNにて鑑賞。脚本の出来がよく、主演の熱演をはじめとして演技も高レベルだし、政治的なテーマ絡みでばかり語られるには、もったいない娯楽性の高い映画なのではないか、といった見方も…

エロ事師たち 野坂昭如

エロ業界周辺のダメ人間達を描いた作品。彼等のダメぶりが、からっとしたユーモアとペーソスを絶妙に織り交ぜて描かれる。それによって、彼等の「とほほ」感が非常によく伝わってくるところが、おもしろかった。スブやんがエレクチオンしながら死んでいた、…

宮沢 

・オツベルと象まあようは仏教について寓話書いてみた、って感じだろう。・猫の事務所窯猫≒サンドリヨン(灰かぶり)=シンデレラ かな。灰が生死を媒介する役割を〜とかなんとか。カイエソバージュ二巻あたりにそんなこと書いてあった、確か。宮沢賢治が灰…

ピンク・フラミンゴ ジョン・ウォーターズ

かなり有名なカルトB級映画。エログロ。主人公のディヴァインさん、女性なのに野グソしたり犬のうんこ食ったりしてます。初期ロックの名曲が流れる中、次々に行なわれるショッキングなお下劣行為の数々。なるほど、確かにいろんなとこで言われてるように、こ…

ロックオペラ トミー   ブロードウェイ・ミュージカル

たまたま券をもらったので、フーのコンセプトアルバム「トミー」のミュージカル版を観に行った。ミュージカルを生で観たのははじめてかもしれん。かなり高く組まれたセットの上でバンドが演奏しつつ、下で物語が展開するっつー舞台の使い方はおもしろかった…

マリヴロンの少女 宮沢賢治

5ページぐらいの童話。もともと特別なオンリーワン、と直接言ってしまってはどうしようもないわけだが、ここで宮沢は非常に詩的な表現で同じメッセージを発している。「〜正しく清くはたらくひとはひとつの大きな芸術を時間のうしろにつくるのです。ごらん…

寄生虫博物館

目黒にある、日本で唯一の寄生虫のみを扱った博物館に行った。人間から摘出した8メートルのサナダムシのホルマリン漬けとかが展示されていた。やはり、基本的にどの寄生虫も極めてグロテスクだった。いくつか例外もあったが。グッズコーナーには立体サナダム…

空飛ぶモンティパイソン1−1

観ながらずっと、映画版より全然笑えるなあと思っていたが、一つには時間の問題も関係あるかもしれない。映画は二本とも100分近くあった気がするが、こちらは一回につき三十分。そのぐらいの尺がちょうどいい、というだけのことかもしれない。個々のネタ…

 ブルーベルベット リンチ

笑える。デニスホッパー演じる悪役フランクの一挙手一投足がいちいちツボ。 バタイユ「眼球譚」や早見純の漫画を彷彿とさせる変態描写もよかった。 意外にもそれほど難解なストーリーではなかったが、不条理な展開や意味不明な映像が一瞬挟まるところとかは…

チベットのモーツァルト 中沢新一

リズムに合わせて自由自在に楽器を奏でるかのように放屁する、「曲屁」と呼ばれる江戸時代の見世物について記号論を用いて分析した、「視覚のカタストロフ」が素晴らしい。違う意味で。 中沢氏によれば、曲屁のほんとうの面白さはスカトロ的なものではなく、…