2006-12-01から1ヶ月間の記事一覧

魯迅 狂人日記 阿Q正伝

体制批判の側面はもちろんあるんだが、なんとも形容しがたいユーモアのセンスにむしろ魅かれた。国が違えば笑いのニュアンスが変わってくると言うのは当たり前のことなんだが、なんやかんやでアメリカ、イギリス、フランスあたりの笑いは、普段日常的に触れ…

エリック・ロメール 愛の昼下がり

男一人女二人の三角関係を巧みに描く。浮気相手のほうに行きかけるが何とか踏みとどまって、最終的には嫁を選んでハッピーエンド、というお話。どこかで聞いた事がある話だったので必要以上に胸に沁みるもんがあった。浮気相手の気まぐれ悪女ぶりが映画の肝…

ゴダール 女は女である

二人の男と一人の女の三角関係を描いたドタバタ喜劇。アンナ・カリーナの可愛さが神がかっていた。 エミールが彼女の動きを真似るところ、部屋をチャリで走り回るところ、アンナ・カリーナと二人で喧嘩して本のタイトルで筆談するところなんかがよかった。

バーセルミ パラダイス

後期の長編。後期というところがおそらく肝。初期から中期にかけての過剰なまでのアバンギャルドさがやや薄れており、斬新な手法にこだわるのとは違う、新たな面白さを探求しているように感じられる。ただ、正直に言ってその試みが成功しているかというとそ…

石井總互 逆噴射家族

家父長制を中心とする近代的「家」制度の崩壊によって、マイホーム目指して頑張るといったライフスタイルがもはや機能しなくなって、うんぬんかんぬん、って感じの、まあありがちと言えばありがちな話を、監督特有のパンクなノリで、ぶっ飛んだドタバタ喜劇…

藤子F不二雄 ミノタウロスの皿

「劇画オバQ」が素晴らしすぎる。お得意の、目に輝きがなくなった大人が若い頃を振り返って煩悶するタイプの話なんだが、現実と対峙して日々生活する大人の悲哀を表すため、絵を劇画調にしている、ってのが悪ふざけにも程があって笑える。展開は例によって泣…

VOW3

一冊ちゃんと読んだのは初めてだが、そんな気がしなかった。 染み付いてるんだろうな、と思う。

宮台真司 速水由紀子 サイファ覚醒せよ!

大まかに論旨をまとめておきたい。 「社会の底が抜けている」ことを自覚した上で、ある一つの準拠集団や考え方に過剰に没入しないよう、多元的所属を確保することが重要。その上で、「表現から表出へ」「意味から強度へ」、「まったり」笑などの標語に代表さ…

山本直樹 フラグメンツ

やはりヘンリー塚本作品との近さを感じた。彼の他作品と比べても、全体的にレベル高かった。

ラカン=フロイト

フロイトの用語とラカンの用語を対応させて説明してるところはわかりやすくはなかったが参考になった。後半の仏教とラカンの関係、ってくだりは自分でも考えてたあたりなので興味ぶかかった。歴史修正主義とからめたメディア論とラカン、ってくだりは斬新な…

ヤン・シュバンクマイエル ルナシー

最初の監督自身が出てきて映画のテーマとかモチーフについて解説する場面は明らかにいらなかったが、それさえなければ完璧な映画だった。

フォークダンス 自縛3

・教習所 どのライブでも一本目は同系統のネタを持ってきているのだろうか。 オーソドックスなスタイルプラス、フリップ芸やカセットテープなどの小ネタ、という構成は自縛1・2の一本目とかぶっている気がした。 それゆえ、もちろん笑えるのだが、まあある…

フィリップ・K・ディック ユービック

半生命という設定がまず上手い。お得意の夢と現実の境界があやふやになって破滅していく主人公、という展開とのかみ合わせが抜群。 ユービックの語源が「神の偏在」ってあたりもオカルトに片足突っ込みつつあるのが出ていてよい。単純に読んでておもしろいっ…

井口昇 クルシメさん

途中までは、対人関係・コミュニケーションで誰もが多かれ少なかれ体験するような齟齬をうまく誇張して描くことで、ユーモラスかつそれだけに終わらない、何か考えさせられる部分も残るようになっているところがおもしろいなーと思いつつ観ていた。 主人公二…

黒沢清 神田川淫乱戦争

デビュー作。アート要素の入ったエロ映画、って感じ。にっかつだし、神代あたりとの近さはあったかな。川で浪人生を母親と女が奪い合ってるところを、俯瞰で撮っていたシーンなんかは、「恋人たちは濡れた」の馬飛びシーンなんかを思い出した。あとは、林檎…

業田義家 自虐の詩

笑いの基本要素の一つに第三者的な視点というものがある。これは往々にして、嗤いへとつながってくるような、いわゆる笑いの有する差別的構造を顕在化させる働きをする。 しかし、この作品においては、その第三者的視線こそが逆に、幸子たちへのある種の暖か…

ネ暗トピア 14才 赤塚 レッツラゴン

フォークダンス 自縛2

音楽補習 まあオーソドックスな感じ。ズラしかた、反転のさせ方はバリエーション豊かだが、ある意味では桶田の典型的なスタイルから抜け出すものではない、という見方もできるだろう。Bar ズラし、反転、ナンセンスを自在に使い分ける言語遊戯のセンスとスキ…

長新太の絵本

最近、彼の絵本をまとめて読んでいる。現時点で大体十五冊ぐらい。有名どころ中心に。 彼はナンセンス絵本の王様、と言われるほどの人物らしい。最近まで名前も知らなかったが。 彼の名を知ったのは、漫画家うすた京介経由である。彼のブログにて、尊敬する…

中原昌也 待望の短編集は忘却の彼方に

雑誌掲載作品を集めて、そこに書き下ろしをいくつかプラスする形で構成された短編集。 かなり短めの一話完結のストーリーからなり、所々に挿絵がはさまれるという辺り、内容とあわせてかなりバーセルミに近い。柴田高橋源一郎対談で触れられてたことだが、む…

フォークダンス 自縛1

英会話教室 産声をめちゃくちゃな英語にしてるとこと、蝉の鳴き声をジャンピングニーと言ってたとこが一番よかった。言語遊戯のセンスはさすが。 あとはパターンどおりではあるが序盤でふったネタを終盤まとめて反復さす、って感じ。医者 色々やりつくされて…

ジャ・ジャンクー 一瞬の夢

長編デビュー作。映画学校の卒業制作かなんか。全員素人を使って撮影している点や、撮影時の社会情勢を反映させるため、当時の実際にあったニュースを本編に盛り込んでいたりするあたり、デビュー作からすでにドキュメンタリー的な手法が色濃く現れていると…

ブローティガン 東京日記

他の詩集に比べると見るべきものはほとんどなかった。心に引っかかるようなフレーズもなかったし。サイードなんぞ読んだことないし読む気もしないが、やはりオリエンタリズムの問題はあるんだな、と再確認。禅と芭蕉が好き、とか言っててもこんなもん、って…

舞城王太郎 暗闇の中で子供

時代の空気を非常にうまく掬い取っている、ということになるんだろうか、やはり。どの作品も古谷実近作との近さを感じる、というあたりも含めて。 十年、二十年後にこれを読んだ若い世代の読者は、今の自分がW村上に対して感じるようななんとも言いがたい違…

ダイナマイト関西

第4回から第八回までの問題と回答を活字に起こして編集した本。 まさに、シンプルイズベストという感じ。 余計な設定が全て削ぎ落とされているから、純粋に笑いのセンスだけが問われる戦いになっている。 ただ、第七、八回ぐらいになってくると、回数を重ね…

トッド・ブラウニング フリークス

プロットはまあありがちな感じ。フリークスを異質な他者として排除しようとする社会、人間達への批判がメイン。冒頭の説教臭いナレーションはさすがにやりすぎだと思う。いらない。 実際出演しているフリークスの方々には驚いた。両手足のないおっさんが口だ…

竹田青嗣 ニーチェ入門

分かりやすく噛み砕かれた表現が使われているため、読みやすかった。非常にわかりやすく、ニーチェ思想の大まかな全容をつかむことができたように思う。 難解でアフォリズム的な文章を原典から引用しつつ、それをわかりやすく言い換えながら議論を進めていく…

傾聴ボランティア特集 クローズアップ現代

以前からなんとなく、聴き屋、フリーハグなどに対して、私はambivalentな感情を抱いてきた。しかし、それでもどちらかと言えば、そんなところにすがるしかないような人間を嗤って自尊心を確保しようという方向性のほうが強かったと言える。 そう言った見方が…

黒沢清 LOFT

ホラー、恋愛、サスペンスなど様々な要素が織り込まれていたが、よくまとまっていた。昔の作品は未見だが、最近の作品では、恋愛の要素が多少なりとも出てくるのは珍しいことだろう。苦手分野なんだろうと勝手に予想していたが、全然そんなことなさそうだ。…

メモ AVが映画と違うところは、家のビデオデッキで再生して、家で一 人で見るというところである。別にみんなで見てもいいのだが、オ ナニーする時はたいていの人がひとりだろう。ようきょう―狂気 SMにおける愛情ごっこ―愛情 演技、フリをすることの恐さ