2006-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ショーペンハウエル 「読書について」

読書とは他人に自分の代わりに考えてもらうことなのであって、一日中読書ばかりすることは、自分で物事を考える力を衰えさせる、という指摘は確かに一理あると思う。「書を捨てよ、街に出よう」ではないが、バランスが大事だということだろう。インプットと…

高橋源一郎 「君が代は千代に八千代に」

短編集。「あだると」ぐらいからバクシーシ、カンパニー的なアングラAVのような雰囲気が作品中に出てくることが多くなっているな、と感じる。この短編集とか、「恋愛と性交に関するいくつかの物語」とか。「性」に関する容易には言語化できない、相反する…

中村元 「竜樹」

神代辰己 『地獄』

二本目に観たからというのもあるだろうが、かなり長く感じた。実際130分は必要ない映画だったと思う。やや冗長だった。殺された母の復讐に燃える娘を描いた現世パートと、様々な罰を低予算でがんばってヴィジュアル化しようとしてやや失敗気味の地獄パー…

石井輝男 『江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間』

差別用語連発のためか、劇場でしか観る事の出来ないカルトムービー。乱歩の作品を全く読んだことがないので、彼の諸作品をどうやって一本の映画の中に無理矢理詰込んでいるのか、という見方からは楽しめなかったが、その分展開が読めなくてよかったかも。 作…

石井輝男 『無頼平野』

1995年作品。年とって成長したのか、珍しく脚本にあまり破綻が見られなかったが、逆にそれが仇となってしまったのではないだろうか。ベタな台詞に何の説得力も与えられない支離滅裂なストーリー展開は彼の一つの味だったのに。ダラダラ何の変哲もないストー…

牧口雄二 『女獄門帖 引き裂かれた尼僧』

掛け値なしの大傑作。とんでもないもんを観てしまったという感じ。 約70分という短い時間の中に、エログロB級映画的な魅力と、芸術性が非常に高いレベルで共存していた。個人的にはこの映画のバカさと芸術性のバランス感覚は完璧だと思う。男に騙され逃れた…

藤子F不二雄 箱船はいっぱい

ブラックユーモア全開のSF短編集。

ルイス・キャロル 不思議の国のアリス

ナンセンスな言語遊戯に満ちた名作。 天才柳瀬尚樹による新訳で読んだ。 文法のルールをわざと破ってるところなんかは訳で読んでもわかったんだが、日本語での駄洒落とか、漢字を当て字にしてるところなんかは、原文でどういう表現になっているのか非常に気…

 さよなら、ナム・ジュン・パイク展 ワタリウム

art

予備知識ほぼゼロで観に行ったが予想以上に良かった。現代音楽はほとんど聴かんのでジョンケージやヨーゼフボイスがらみの作品はそれほどだったが、テレビがらみのインスタレーションやビデオ作品はかなりおもしろかった。女の人の両乳首にちっちゃいテレビ…

志村貴子 どうにかなる日々

ブックオフで立ち読み。まとまった作品集を読んだのははじめて。山本直樹とか町田ひらくよりは好みかもしれん。他のも読みたくなった。 タイトルは町田康の作品のどっかから引用したらしい。なんとなくフリーター、ニート的価値観が作品の根底にある感じは、…

新宮一成 ラカンの精神分析

読後、ラカンについて、少なくとも何となくわかった気にはなれるように書かれている。ということは、かなりわかりやすい説明がなされているということなんだろう。おそらく。 鏡像段階や象徴界、現実界に関する部分は、わずかながらも予備知識があったのでま…

谷川俊太郎 詩選集1

超初期の作品はそこまでピンと来なかったが、60年代に入ってからの作品はなかなか。 個人的には、詩は自分がグッときたかこなかったかを大事にして読みたいという気持ちが強い。 「文学部〜」に書いてあった限りでは一時期の文学批評はかなり詩的言語に焦…

久々にゴールデンで催眠術をメインに扱った、「ザ催眠」とかいう芸能人のトラウマ解消、などと謳って鈴木宗男先生に「ムネオハウス」はなかった、とか言わせたり、保坂に高岡早紀と布袋がどうこうとか言わせたり、というアホなバラエティ番組をやっていて、…

筒井康隆 文学部唯野教授

「白い巨塔」かと思うような、大学内部での教授達の権力抗争を縦軸に、唯野の軽妙洒脱な文学理論講義を横軸にして描かれた作品。 相当理論的に難解な事象を扱っていながら、高度のエンターテイメント性を保っているところが素晴らしい。見事と言うほかない。…

クローネンバーグ 裸のランチ

言わずと知れたバロウズの代表作の映画化。と言っても原作は以前挑戦した際5ページぐらいでなげてしまったのでいまだ未読なんだが。 タイプライターの造形なんかは、クローネンバーグ節全開といった感じだった。 意味があるのかないのかよくわからん語りも意…

吾妻ひでお うつうつひでお日記

巻末のインタビューで、人に見せるものとして意識せずに書いた、というような発言をしていたが、その結果何らかの味が出ているというわけでもなく、垂れ流しのブログとかmixiの日記とたいして変わらんものになってしまった感じ。失踪日記が売れたから二匹目…

今日の猫村さん

一日一ページという発表形態の新しさが注目されているようだが、まとめてコミックスで読んだのでそのへんについてはよくわからず。 ベタな浪花節っぽいエピソードが多いが、描き方がうまいので抵抗なく読めた。結局、倫理とか道徳って大事なんじゃないか、と…

都築響一 珍日本紀行

赤瀬川源平の「トマソン」やら根本敬の一連の仕事にも通じるような、周縁的なものへの愛情が感じられる一冊。こういった方向性はともすると斜に構えた感じにいきかねないんだが、そうはなっていないところが素晴らしい。 ガイドブック見て名所の観光地巡って…

ウディアレン マッチポイント

百戦錬磨のウディアレンだけのことはあって、例によって脚本がしっかりしており、よく出来た話だった。しかし、この映画のキモはと言われれば、なによりもスカーレットヨハンソンのビッチぶりに尽きる。アップで見るとあんまりかわいくないんだが、雰囲気の…

ケンタッキー・フライドムービー

ニュース番組やCMを元ネタにしたパロディコント集。一つ一つのネタの尺は短めで、小気味よく魅せようとしてる感じ。架空のアホ映画の予告編とか、トーク番組に出演した動物愛護団体のおばさんが、自分で連れてきたゴリラに襲われるネタなんかがツボだった。…

マゾッホ 毛皮を着たヴィーナス

毛皮に対するフェティシズムは完全に盲点だった。 今まで全く意識したことがなかったが、結構アリかもしれん。崇拝する女性に裏切られた時に快感を感じる、というのは一体どういうメカニズムなんだろうか。本作の中心をなす所謂マゾヒズムと名づけられるよう…

千原ジュニア 「題」と「解」

ネット上で定期的に開催されている、視聴者からの投稿による大喜利番組をまとめた本。 当然それぞれのお題について自分の解答を考えつつ読み進めるんだが、読めば読むほど自分の発想のつまらなさを痛感させられた。常にアンテナを張って生活していかないとい…

フロイト 自我論集

やっと読了。根気よく何度か読み返す中で、ようやく少しずつ全体像がつかめてきた感じがする。

城 カフカ

寺山修司実験映像ワールド1

・「トマトケチャップ皇帝」 ガキの裸、ババアの裸。 ガキのセックス、ババアのセックス。 全裸の若い女性をネットにして卓球するところとか、海岸で半裸の人々が手をとりあってる画が印象に残った。 一応子供の帝国が大人たちをうんぬんという物語性も保っ…

 怪猫トルコ風呂 山口和彦

ラスト近くまでは、遊郭ものによくある「ダメ男に騙される健気な女主人公」の凋落ぶりを描くという設定をそのままなぞっている感じで、やや物足りなかったが、黒猫の首が見事に吹っ飛んだあたりから、タイトルにある怪猫登場後の展開はかなり笑えた。執拗に…

Literary theory Jonathan Culler

ようやく英語の本を一冊完読できた。現代の批評理論を概説的に広く浅く扱った感じの、新書的な本。入門書としてはわかりやすくてよかった。予備知識のほとんどなかったパフォーマティブに関する章が最も参考になった。

おんな極悪帖 池広一夫 

大奥もののベタな設定通りの展開で終始。オチもありがちな感じ。イマイチ。殿様のイカレっぷりをもうちょい生かせば色々おもしろくできた気がするんだが。笑えたのは、若き日の田村正和のなんとも言いようがないビジュアルぐらい。

ディープブルー

海の生物を追ったドキュメンタリー。どうやって撮ったんだというような、決定的瞬間であるとか、すごいアングルからのショットなんかが見所。おそらくかなりの時間と労力がかかっているであろうことは容易に想像できる。まあ知ったこっちゃないが。 例によっ…