2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧
たまたま猫のいる部屋で読めたのが非常によかった。 良質の猫文学作品の一つだと思う。 後半に収録されている短編、「キャットナップ」は、先日の「子猫殺し」問題との関連で考えると色々と思うところがあった。人間がペットとして飼う、という時点でそこに…
とりあえず二本観た段階での園子温の印象を一言で言うと、太宰治並の自意識を持った寺山修司、という感じか。 本作は彼自身が監督主演で、舞台は地元。高校時代自主映画を撮っていた二人が、浪人生活を送りつつも、夢をあきらめ切れず煩悶し、以前撮った自主…
「空を自由に飛びたいな」、そう言えばお手軽に空が飛べる、そんな時代は長くは続かない。飛びたければ自分で飛ばなければならんのだ。
「11人いる!」 SF長編。設定が見事。中でも成長段階の途中で性別が決まる種族、という設定で、両性的な段階で船に乗り込んでくるキャラクターを巡るストーリーは考えさせらるものがあった。 やはり良質の少女漫画はジェンダーの問題に深く切り込んでく…
ここまで何がやりたいのか分からない映画ははじめて観た。すごい。 ストリップ小屋で起きた連続殺人を新聞記者が解決するというストーリーなんだが、脚本があまりにも適当。まったく論理性の欠片もない推理のいい加減さは驚異的。観客は誰一人推理に付いて行…
出演:丹波哲郎 伊吹吾郎 ひし美ゆり子 ※吉原遊郭で繰り広げられるアクションポルノ 時代劇丹波哲郎の存在感に尽きる。
裸のお姉ちゃんが出てこないこともあって、退屈だった。リンチの激しさが見所だったんだろうけど。ちょっと寝てしまった。
出演:賀川雪絵 由美てる子 藤江リカ ※石井輝男が描く血ぬられた五大愛憎事件 女たちの血の記録がよみがえる五つの猟奇犯罪を扱ったほぼ完全なオムニバス。阿部定事件の馬鹿馬鹿しい描き方はさすがとしか言いようがなかった。裁判と回想の場面はさほど「愛の…
オムニバスというわけではないが、同時代の江戸での話という設定で、登場人物も重複して登場するものの、事実上三つのパートに別れていた。どうせ一つの話じゃ90分も持たせられなかったんだろう。一つ目は悪い男に騙されて遊郭に売られた女の悲劇を描いた…
フジロック誕生から2003年までの歴史を、大将こと日高氏が振り返った本。彼がいかに、地元住民やスタッフとの顔の見えるコミュニケーションを重視してフェスを作り上げてきたか、ということがよくわかる。 一昨年ぐらいまでは、アーティストのブッキングにし…
密室ものという縛りで作家に一本書かせるというシリーズ物のひとつ。 他の作家の作品は未読だが、密室という縛りを心理的な要素として利用するなどという離れ業を演じているのはおそらくこの作品だけだろう。 基本的には真っ当な青春小説の流れに位置する作…
モンティパイソンを観ていて一つ引っかかったのが、やや「嗤い」の要素を強く感じることが多かった点である。いかにもひねくれたインテリといった感じの、大衆を馬鹿にした態度には、ある程度の共感を感じる一方で、なんとなく不快な気持ちを感じもした。こ…
おそらくテレビシリーズと映画二本は観終わったので、一応全体を総括しておこうかと思う。モンティパイソンのおもしろさはどういった点にあるのか、思いつく範囲で箇条書きっぽく列挙してみたい。 ・言葉や物事の意味、役割をズラす、反転させる、あるいは無…
冒頭女子高生が手をつないでホームから飛び降りるシーンからしてもう完璧。一瞬にして物語に引き込まれる。主婦が大根と一緒に指切りまくるところとか、飛び降りシーンでの血の飛び具合なんかもいい感じだった。含みを残したラストも良い。 人の皮を繋げて巻…
「快感原則〜」は二回読んだがおそらく半分も理解できていないだろう。知覚―意識システムうんぬんのあたりが特によくわからん。「自我とエス」は案外すんなり読めた。自我とエスの関係を表した図はなぜそんな形になるのかさっぱりわからんかったが。 超自我…
アメリカのミスコンの経過を追うという設定の偽ドキュメンタリー映画。 おそらくバカな女達の醜い争いを通してアメリカの暗部を風刺しようとしている面もあるんだろうが、いまいち伝わって来なかった。登場人物達のバカさ加減をあえて誇張して描くことで隠蔽…
主人公エスターは、自分の詩が認められ休暇中に田舎からニューヨークに招かれるも、周りの環境になじめず、将来に不安を募らせ精神に異常をきたし、精神病院に入れられてしまう。そこでも周囲に不信感を抱き続けなかなか治療が上手くいかないが、最終的には…
いよいよ最後の一本。第四シリーズはかなり持ち直してる感じ。特に最終回の最初のコント、「滅茶苦茶な家族選手権」は素晴らしかった。ナンセンスの極致。
ゴミ。
ブコウスキーの日記調のエッセイ集。年とって体力と性欲が衰えた後の彼は、多少物分りのいい、文章力のあるシニカルなおっさん、という程度だったんだなという感じ。もちろん所々彼らしいぐっとくる言い回しはあるんだが、他の作品に比べるとそれほど衝撃は…
文芸作品としても十二分に通用する美文で描かれた、「エロス」を巡る哲人たちの対話篇。 「饗宴」とは平たく言うと飲み会での真剣な議論、といった意味らしい。本書はさながら愛とは何かについて中年男達が熱く語り合う、真剣四十代しゃべり場といった趣であ…
野外で観たため台詞が一部聞き取れなかったが、かなり楽しめた。 なんといってもラストのセッションシーンは圧巻。終いにはなぜか山下洋輔やタモリまで出てくるし。 演奏はド下手だが笛好きの江戸時代の藩主(KJのお父さん)が、船が難破してたまたまやっ…
竜樹の「中論」に挑戦する前に、大乗経典の流れを軽くさらっておこうと思い、斜め読み。 どちらも似たようなことを手を変え品を変え繰り返し言っているだけなのですぐ読めた。本来は原文を暗誦しつつ読むのが正しい読み方なのだろうが、力不足のため、やむな…
何かに対して没入する「強度」とユーモアによって、ニヒリズムの超克を図ろうとする物語であるという点においては「下妻」と非常によく似ているのだが、「下妻」がベタな成長物語としては回収し得ない、独特な味とユーモアに溢れていたのに対して、「松子」…
数学が弱い人間でもなんとなく分かった気になれるように、ほとんど数式を用いずわかりやすく不完全性定理のイメージや、数学における哲学と接する問題などを解説した良書。不完全性定理とは、非常に大雑把に言うと、全てのシステムにそのシステムだけでは消…
サリンジャー「ライ麦」と比較すると色んなものが見えておもしろいかな、と思う。 どちらも、経済的に恵まれた環境下に育ち、平和な中で高等教育を受けた自意識過剰野郎の主人公が、他に特に悩むこともないので異性問題に悩んでるという点ではよく似ている。…