やるかFUJI ROCK 1997−2003 日高正博

フジロック誕生から2003年までの歴史を、大将こと日高氏が振り返った本。彼がいかに、地元住民やスタッフとの顔の見えるコミュニケーションを重視してフェスを作り上げてきたか、ということがよくわかる。
一昨年ぐらいまでは、アーティストのブッキングにしても、常に彼のこだわりが感じられたものだが、特に今年は環境面でも斬新さがほとんどなかったし、ブッキングも正直首を傾けざるを得ない感じだった。この本を読んでいると、ひょっとすると、彼の頭の中にある理想のフェス像を実現するには、苗場で今の形式をとり続けたままでは難しいという思いがあるのではないかと邪推したくなる。初期のマスコミからの激しい反発も今は昔、もはやある種夏の風物詩と化しつつあるフジロック。経済的にも計算が立つようになってきて、今更場所や日程などを根本的に変えるわけにもいかず、かといって苗場でこれ以上斬新さを打ち出すのも難しい、という状況なんじゃなかろうか。あくまで想像だけど。