2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧
全七作から成るオムニバス短編集。ラストの三つが気に入った。 反復を有効に使いつつ、アストロ球団も真っ青の殺人サッカーを描いた「男のゲーム」。バラバラのパーツから人間ができるまでをコミカルに描いた「闇・光・闇」。人間のコミュニケーションのメタ…
前後半の二部構成。どちらも病院における人々の日常を切り取っている。前半は農村部の病院が舞台。ほとんどのシーンは引きのカメラからの固定ショット。そのせいか野外のシーンでは風景が印象に残っている。大きなストーリー展開は皆無で、世間話の断片のよ…
SFアクション映画のはしりと言われた作品。脚本はベタな感じ。おもしろいのはニューヨーク全体が刑務所という最初の設定と、囚人達のボスが黒人ってことぐらい。 登場人物のネーミングや展開から考えて、TVゲームのメタルギアシリーズはおそらくこの作品の影…
火の鳥を狂言回しに、SFや大河ドラマなど、多彩な形式で描かれたオムニバス形式の長編。手塚治虫のライフワーク的な作品。大体SFと歴史ものが半々ぐらい。多くの物語は、一言で言ってしまうと、青春ものの要素に仏教的な輪廻思想の要素を取り入れたような感…
ベルリンかベネツィアどっちかで賞とった作品らしい。どっちか忘れたが。 マンションの空き部屋を舞台に、すれ違う一人の女と二人の男を巧みに描いていた。 お芸術系の映画かと思ったら、意外にユーモアに富んでいて、それなりに楽しめた。 郵便配達してる方…
男の妄想を完全に具現化した映画。アホすぎ。 子供の昆虫標本にヒントを得て、女達を標本化する方法を思いつくってのが笑えた。 終いにはポラロイド持ち出してくるわ、変なポーズとらせるわ、もうめちゃくちゃ。 あと、なんといっても裕也さんの「ジンジャエ…
19歳の貧乏な男二人の青春を描いた作品。三峡好人とは対照的に、手持ちカメラを使った、対象に寄り添うようなショットが多くを占めていた。手ブレしながらも手持ちカメラで撮ることで、ある種ドキュメンタリー的な空気を出すと言う手法は、最近だとダルデン…
フィルメックス映画祭オープニングイベントにて鑑賞。公開はまだ先らしい。 久々に新作映画を観て興奮した。現代の中国でしか撮り得ない映画。 ほとんどのシーンが固定カメラの長廻しで撮影されていた。
ちょっとインテリすぎる感じは否めないが、小説で新しい表現をしようとしたら、こういう方向性ぐらいしかないんだろうな、という部分を的確に突いているとは思う。 多くの作品において、偽書も含めた大量の書物へのリファレンスを数多く示すことで、一編の長…
ポルノスター以上の出来。空中庭園は未見だが、個人的には今まで観た彼の作品の中では最高傑作だと思う。監督自身、本気で苛立っていないとこういう映画は撮れないような気がする。苛立ちをごまかさずに、まっすぐぶつけたら、狂気と紙一重のところを表現す…
2005年の正月から一年間の日記を書籍化したもの。「しりとり竜王戦」や「ケータイ大喜利」など、彼自身が出演していた番組に関して、 「色々余計な工夫をしすぎで、逆効果になっている。シンプルなものほどおもしろいのに。」 といった意見を書いていた部分…
中・短編集。性のせつなさを描く筆致は見事と言う他ない。ピンク映画〜ロマンポルノあたりに近いものを感じた。表題作はヘンリー塚本作品のようだった。素晴らしい。そろそろ長編も読んでみたい。
タイトルに反して、意外と真っ当なお説教映画だった。「未来惑星ザルドス」とかと似た感じ。ふざけてることはふざけてるんだけど、その裏には真面目くさったメッセージ性が透けて見える、っていう。メッセージを前面に押し出すのは恥ずかしいので、スプラッ…
とりあえずメモ。今まで観たウディ映画の中では明らかに最高傑作だった。 女性とのままならない関係を描いた自伝的(?)映画。 アニーに別れを切り出された際のウディの切り返し。サメは常に前進していないと息絶えてしまうと言う。さながら今の僕達の関係…
最近、前田日明関係の資料を色々と漁っている。部屋でたまたま目に入って読んだ自伝で彼に惹きつけられた。私は85年生まれなので、もちろんリアルタイムでUを観ているはずはなく、リングスも当時WOWOWに加入していなかったため、全く見たことがなかった。日…
人生のままならさがここまで凝縮されている映画は初めて観たかもしれない。 理想と現実の間で揺れる若者を描いた物語など、それこそ星の数ほどあるに違いないが、ここまで心に響く作品はそうそうない。以下あらすじ。 高校時代学生運動に熱中していた主人公…
デビュー作。三十分ちょい。すごい。自意識がフィルムに焼き付いている。 彼の苛立ちが見ているこちらに痛いほど伝わってくる。 カメラ持って走るところや、髪の毛を剃るところなんか、すごくいい。 ラスト、今このときにカメラを回していたという行為だけが…
Keiko's Today Newsのくだりがあまりにも秀逸。特に言うことはない、でも何か言いたいという感覚。ブログとかmixiとかが広まっている現在の状況から考え直すと、より悲惨。どうしようもない。この日記も似たようなものだし。 雪の中を歩くシーンは不思議と明…
カタカナで書いちゃう感じに時代を感じる。右にしろ左にしろ女にしろなんにしろ、結局思春期の鬱屈した精神をどうやって紛らわせるか、という話に収斂してくる、ということだろう。まあわかりきったことだ。特におもしろさは感じなかった。
高倉健のダンスに尽きる。 終盤丹波哲郎と健さんがトロッコでカーチェイスするところなんかも、なかなか迫力があってよかったが、健さんのダンスのインパクトがあまりにも強すぎた。
監督と個人的な交流のある四人のボクサーを追ったドキュメンタリー。ドキュメンタリーは客観的視点に立たないと、とかよく言われるが、こういう映画を観るとそういう意見はある面では説得力あるが、あくまで一面的な意見にすぎず、結局はそんなもんケースバ…
猫の目のように変わる作風、その中で一つ中心的なスタイルとして存在するコラージュ。 小学校時代からの自己の作品を全て保存しているという蒐集癖と自意識過剰ぶり。 バーセルミ、中原、高橋源一郎あたりとつながってくる部分が非常に多い。 最近の日本を周…
「四丁目の夕日」よりさらにひどいかも。どうしようもない。どう転んでもカタルシスにつながりようがない、突き放したようなラストは見事。こんなものを書いて正気を保っていられることがすごい。
第1話「媚薬の効能」/第2話「ソドミーって何?」/第3話「エクスタシーは所選ばず」/第4話「女装の歓び」/第5話「これが変態だ!」/第6話「SFボイン・パニック」/第7話「ミクロの精子圏」以上七話から成るオムニバス。第五話の、羊に惚れてしまっ…
障害、ハゲ、アホなど「嗤い」の要素をこれでもかというほど散りばめつつも、最後は浪花節でまとめているため後味は全く悪くない。上手い。良質のエンターテイメント作品。
これも修行の一環で。ドストエフスキーはあまり読んでなくて、これ以外だと「罪と罰」ぐらい。集中力がないからか、長い小説があまり好きではないので、カラマーゾフなんかもいまだに敬遠している。そんなことはどうでもよくて、この小説なんだが、主人公の…
修行のために読んだ。思ったより身につまされた、という時点で、まだまだ思いのほかロマンティックラブイデオロギーに意識が汚染されているんだな、と気づいた。 心理的によくないスパイラルにはまっていく部分なんかは、よくわかるが、自分が同じ状況だった…
ビートたけし名義で発表された詩集。ブコウスキーに似てるな、と思いつつ読んでいたら、そういえばたけしが彼の作品の帯文書いてたな、ということを思い出した。センチメンタリズムがちょっとだけ覗く、という匙加減が絶妙だ、やはり。うじうじしてるだけで…
らも氏オリジナルの新作落語17本を集めた本。 他の本でいくつか読んだコントの台本と、これらを見る限り、彼はかなり理詰めでネタを作っているような気がする。だからネタがかなりモンティ・パイソンに似てるんだろう。 理論は完璧なんだけど、インテリ臭…