大竹伸朗 全景展

猫の目のように変わる作風、その中で一つ中心的なスタイルとして存在するコラージュ。
小学校時代からの自己の作品を全て保存しているという蒐集癖と自意識過剰ぶり。
バーセルミ、中原、高橋源一郎あたりとつながってくる部分が非常に多い。
最近の日本を周って地方ごとに描いている作品群なんかは、都築響一の珍日本紀行とのシンクロを感じたが、二人は交流があるようで、珍日本紀行と彼の作品を第三者が勝手にリミックスしたアートブックなんてのも出てた。あとはバンドがらみだとボアのEYEなんかと交流あったみたい。それこそ音楽も中原とかに近い、ノイズ系だったし。
「ダブ平アンドニューシャネル」という素晴らしい名前の、機械だけで結成されたバンドの展示もよかった。明和電機の楽器系の作品なんかを思い出したり。
こういう固有名詞ありきでしか語れない感じにもどかしさがありつつも、結局そこから逃れることは出来ない、という現実を直視するところから、コラージュという核となるスタイルが出てきたんだろう。消費社会だ何だと言う話は野暮なのでしないが、彼のエッセイを集めた著書のタイトルが「既にそこにあるもの」であった、というのは非常に示唆的であったと思う。