2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

[笑い」ごっつ1〜3

ネタをあまり作りこまないのが松本のやり方、というのはわかった。 キャラクターや役割など、大枠をつくって後はアドリブ中心でいくというのが基本スタイル。だから、コントによってはフォーマットに乗せれば後は変奏曲でいくつでもとは言わないまでも、かな…

東浩紀 存在論的、郵便的

キム・ギドク 春夏秋冬、そして春

山中の湖の中心に浮かぶ寺を舞台に、主人公の一生を四季の変化と対応させて描いていた。 まず舞台が見事。冬湖面が凍ってしまったところとか、最後に山の頂上から寺を見下ろすシーンなんかは壮観。よくこんな場所を見つけてきたな、という感じ。全体的にとに…

栗本慎一郎 三木成夫 ポランニー

イアン・ハッキング 偶然を飼い馴らす 決定論−>統計学 統計に信用が置かれるようになっていく過程を分析?

ソフィア・コッポラ ヴァージン・スーサイズ

ナレーション中心、ってのはどうかと思った。多分原作をある程度忠実に再現しただけのことなんだろうけど。雑なくくりで言えば少女から女への過渡期にある女子の内的葛藤、不安を描いた、っちゅーことなんだろう。アメリカでは少女漫画的な表現があまり存在…

キム・ギドク うつせみ

これほど独創的な作品は久々に観た。とにかく監督の発想力に圧倒された。 まず、空き家に侵入して、そこで住人の送っているであろう日常生活を送ることを習慣としている、という無茶苦茶な主人公の設定に驚愕。しかもなぜか草木に水をやったり、壊れている機…

柴崎友香 エブリバディ・ラブズ・サンシャイン

女子大生の日常を描いた中篇。大学さぼったり、ダラダラ惰眠をむさぼったり、たまに外タレのライブ行ったり、という非常に共感を持てる生活を描いているのだが、本作も表現の面白いところはあまりなかった。 ようするにプラプラしてる若者の雰囲気が出ている…

夏目漱石 坊ちゃん

「甘えの構造」でやたらと言及されていたので読んだ。やはりゲマインシャフトからゲゼルシャフトへの移行を体感していた筆者にとっては、職場のギスギスした人間関係なんかが、時代の病理を反映しているものとして映っていたんだろう。「甘え〜」では清との…

高田純次 人生教典

全く人生相談として成立していないことで逆説的に最良の人生相談本となっている。 結局自分の問題なんだよ、ということを回りくどく言っているだけのこと。

吉田健一 酒肴酒

長らく積読状態で放置してきたが、旅行に行く途中の、移動中の機内で読んだ。シチュエーションがはまりすぎていたのもあってか、非常にグッと来る記述が多くあった。 とにかく色気がある。結局文体に艶があるのか、色気があるのか、ってことが全てだというこ…

土居健郎 甘えの構造

「甘え」という概念を中心に、フロイトの精神分析理論を日本風にアレンジして再解釈した本。 第一章は序。第二章。日本語の表現における微妙なニュアンスの違いに着目した分析、「甘えの語彙」は見事。気がねする<=>気ままとか、「すまない」の分析とか。…

柴崎友香 次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?

微妙な関係の男三人、女一人の四人が旅をする経過を追った小説。旅を扱った作品で、車での移動が中心的に語られているのは珍しいのではないか、と綿谷りさ先生があとがきで指摘しておられました。確かにそうかも。 特に言い回しが上手いわけでもなく、若者の…

日本美術が笑う 笑い展

art

・日本美術が笑う キャプションの日本語が滅茶苦茶だったのはどうかと思ったが、展示自体は非常に素晴らしかった。中でも円空の彫刻、唐の禅僧、寒山と拾得の不気味極まりない笑顔を描いた「寒山拾得図」は特にグッと来た。寒山の表情は凄まじかった。ガンギ…

中原昌也 名もなき孤児たちの墓

短編に関してはまあお得意パターンの変奏曲の域を出ない感じだったが、いくつか面白いところもあった。ページ稼ぎなのかもしれないが、「かつて作家たちは文字を使って表現していたがそれはもう古く、現在ではカメラを手に女体を使って表現する新しい時代の…

ネット検索で引っかからないような情報を得るには、「ノイズ」という概念が重要になってくる。「ノイズ」に触れるには雑誌が一番。「雑」誌だから。とはいっても今本当に「雑」さを残している雑誌はほとんどない。唯一の例外があるとすればエンタクシーだろ…

ジョン・マクレガー ヘンリー・ダーガー 非現実の王国で

作品自体はそれほど好きでもないんだが、いかにして創り上げられたか、という部分に非常に惹かれた。 ヴィヴィアン・ガールズをはじめとする少女達の画は、はじめ新聞広告やチラシの切り抜きを集めていただけだった作者が、じょじょにそれだけでは飽き足らな…

早見純 卑しく下品に

相変わらず最高。完全にキチガイ。もし漫画書いてなかったら確実に今頃性犯罪で捕まってるだろうな、というレベルの狂気が見事に昇華されている。女の子に貸してみたい。

佐伯俊男70

エログロ。丸尾末広みたいな感じ。前に現代美術館かなんかで見た画集は好きだったんだが、これはイマイチ。

ドリフの大爆笑

先日特番でドリフの傑作コント集を久々に観た。ほぼ全てのネタが、ベタさと過剰さで笑いに持っていっていた。ベタな誇張もここまで徹底されたら、笑うしかないな、という感じ。ネタをいくつも立て続けに観ていたら、気づいたときには腹痛くなるぐらい笑って…

ロバート・アルトマン ショートカッツ

ロサンゼルスを舞台に、そこに暮す人々の悲喜こもごもを、並列的に描いた群像劇。非常に多くの人物が出てくるわりには、観客が混乱してしまうような要素はなかった。そのあたりは編集の上手さを感じた。一つの街を舞台にしたオムニバス風の作りで、時々人物…

谷岡ヤスジ 谷岡ヤスジ傑作選 天才の証明

部分的に古びているところもあるとは思うが、それなりに笑えた。ただ、この人の魅力を真に味わおうと思ったら、まとまった量を通読するよりは、雑誌連載をチェックする、という形で触れたほうがよかったんだろうな、とは思った。まあ死んでしまってるので無…

鈴木則文 トラック野郎 暴走一番星

ベタベタな浪花節だがよく出来ている。肩の力を抜いて観るには最高。 田中邦衛が実にいい。 お偉方に評価されてるのはどういう部分なのか、これ一本観ただけではいまいち判然としない感じだ。このシリーズはエンタメ路線だからまた別、ってことなのかも。

うすた京介 チクサクコール

短編集。デビュー作から比較的最近の読切作品まで、コミック未収録だったものをまとめた一冊。 ストーリーものは総じてイマイチ。まあフィールドが違うからしょうがない。 デビュー作のショート三本と「男一匹セニョリータ」はなかなか。 デビュー作の脱力具…

松本人志 頭頭

ラスト直前までが全部前フリで、最後の一言で一気にひっくり返す、という構造は途中でなんとなく読めてしまった。ホラーと笑いの境界線を描こうとした面もあったのかもしれないが、成功しているとは言い難い。

エッシャー展

図書館で適当に借りた。78年ごろの展示。その名もずばり「相対性」という作品にグッと来た。ゲーデル的な限界をトポロジカルに表していてなおかつ美的な魅力も兼ね備えている。うんうん唸ってごちゃごちゃ論理をこねくり回すより彼の画をじっと見つめてみ…

ポール・トーマス・アンダーソン パンチドランク・ラブ

とにかく奇妙な映画だった。アダム・サンドラー演じる主人公は、今時珍しい純粋さを持った男だが、その反面女性に対して苦手意識が強く、また時折キレて物を破壊してしまう癖があったりと、様々な面における不器用さをも持ち合わせている。そんな彼の直情的…

ガルシア・マルケス 百年の孤独

心から感銘を受けた作品に関しては何も書けないし、書きたくない、というのが昔からずっとあって、これについてもそうだったのだが、読んでから一ヶ月ほど経った状態で、少しだけ書いてみようと思う。 映画や漫画などの表現媒体がどんどん勢力を強めていく中…

吉田戦車 くすぐり様

初期の作品(伝染るんです。より前)。まだ完全な自分の形を見出してはいない段階だったのか、完全なギャグとも言い切れない作品が多かった。それらの作品は妙な寂しさや寂寞感が感じられるものが多かった。意外だったが、これはこれで味があってなかなか、…

力道山

伝記的な面も残しつつ、適度に演出を加えてフィクションとしての面白さを出そうとしたんだろうが、いまいち上手くいっていなかったように思う。 おそらく、演出の方向性と合わないということで、描かれなかったんだろうが、力道山の汚さや狡さといった部分を…

相米慎二 セーラー服と機関銃

基本的にワンシーンワンカットだった。長回しは個人的に大好きなので、本作でもいくつかカメラの動きにハッとさせられるところがあった。 最初に学校に組の車が迎えに来るシーンの、薬師丸ひろこの横移動とか、まゆみさんとバーで落ち合う場面で、鏡に映る二…