夏目漱石 坊ちゃん

「甘えの構造」でやたらと言及されていたので読んだ。やはりゲマインシャフトからゲゼルシャフトへの移行を体感していた筆者にとっては、職場のギスギスした人間関係なんかが、時代の病理を反映しているものとして映っていたんだろう。「甘え〜」では清との関係が「甘え」を巡る関係として読み込まれていた。まあ納得という感じ。あとは信用していない相手に小さな額をおごられるのが嫌だ、という感覚について執拗に描かれているのも、なかなか鋭いところを突くな、と思った。
主人公の江戸っ子べらんめえ口調は、談志の落語のようで心地よいリズムだった。