2007-02-24から1日間の記事一覧

夏目漱石 坊ちゃん

「甘えの構造」でやたらと言及されていたので読んだ。やはりゲマインシャフトからゲゼルシャフトへの移行を体感していた筆者にとっては、職場のギスギスした人間関係なんかが、時代の病理を反映しているものとして映っていたんだろう。「甘え〜」では清との…

高田純次 人生教典

全く人生相談として成立していないことで逆説的に最良の人生相談本となっている。 結局自分の問題なんだよ、ということを回りくどく言っているだけのこと。

吉田健一 酒肴酒

長らく積読状態で放置してきたが、旅行に行く途中の、移動中の機内で読んだ。シチュエーションがはまりすぎていたのもあってか、非常にグッと来る記述が多くあった。 とにかく色気がある。結局文体に艶があるのか、色気があるのか、ってことが全てだというこ…

土居健郎 甘えの構造

「甘え」という概念を中心に、フロイトの精神分析理論を日本風にアレンジして再解釈した本。 第一章は序。第二章。日本語の表現における微妙なニュアンスの違いに着目した分析、「甘えの語彙」は見事。気がねする<=>気ままとか、「すまない」の分析とか。…

柴崎友香 次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?

微妙な関係の男三人、女一人の四人が旅をする経過を追った小説。旅を扱った作品で、車での移動が中心的に語られているのは珍しいのではないか、と綿谷りさ先生があとがきで指摘しておられました。確かにそうかも。 特に言い回しが上手いわけでもなく、若者の…