柴崎友香 次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?

微妙な関係の男三人、女一人の四人が旅をする経過を追った小説。旅を扱った作品で、車での移動が中心的に語られているのは珍しいのではないか、と綿谷りさ先生があとがきで指摘しておられました。確かにそうかも。
特に言い回しが上手いわけでもなく、若者の日常言語の羅列に終始しているんだが、その中でなんとなく行間を読ませる感じというか、会話の内容というよりも、会話がなされている場の空気感をそれとなく伝えることに重きがおかれているような感じはした。保坂和志とよく比較されているのはそういう部分なのかな、と思った。
旅行から帰ってきた直後に読んだのもあったかもしれないが、読んでいて旅情に近いものを感じたのも、この作品の魅力ゆえかもしれない。