2006-07-01から1ヶ月間の記事一覧

モンティパイソン 4−1

やや復活か。二週目のデパートでアリ買う話も悪くなかったし、三週目の言葉遊びネタからの流れは久々にすげーと思った。バーセルミみたい。普段以上に複雑な入れ子構造のブリッジもよかった。裁判所のくだりも笑えるナンセンスさだった。

近田春夫 考えるヒット2

98年のJPOPヒット曲の批評集。斜に構えることなくJPOPを聴いていた時代のヒット曲を、改めて彼の理論的な(?)視点から再評価すると、また違った魅力が感じられる。小室との対談もよかった。歌謡曲の構造分析うんぬんのくだりで、「上を向いて歩こう」はど…

ハムレット シェイクスピア

四大悲劇の一つ。普遍性を持った物語ではあると思う、確かに。欲深い愚かな人間たちの蛮行、復讐に継ぐ復讐、止まらない悪意の連鎖。人間心理を巧みに描いた悲劇として、結末に至るまでの流れは、プロップ的な意味でソープオペラにも脈々と受け継がれるもの…

審判 カフカ

銀行で働くKが、思い当たる罪が全くないにもかかわらず逮捕されてしまい、裁判にかけられ、振り回されたあげく殺されてしまうまでを描いた未完の傑作長編。メルヴィルやカミュにも通ずる不条理が描かれている。裁判所の不条理なまでの強制力は、おそらくフ…

嗚呼!女たち猥歌 神代辰巳

落ち目のロックシンガーの悲哀を内田裕也主演で描いた作品。80年代の作品になると、正直やや神代の勢いが落ちている印象が否めない。73〜75年ぐらいがピークなのかな。おそらく。新宿のLOFTで内田裕也がライブしてるシーンはどれもカッコよかったが…

愛国戦隊大日本 

多分かなりの低予算だったんだろうが、すさまじい出来のよさ。 こんなレベルの高いパロディはそうそう見れない。 当時の状況はほとんど知らないが、SF界隈が今とは比べ物にならんほど活気があって、若い才能がどんどん集まってきてたんだろう。やはり生ま…

ローズ・イン・ザ・タイドランド テリーギリアム

子供の無邪気な想像とヘロインのトリップを並列で扱うあたりに見えた監督の悪意には好感が持てた。子供の頃は誰でもドラッグなんかなくてもいくらでもトベたんだ、ということなんだろう。話相手がいないことでローズの一人遊びが徐々にエスカレートしていき…

Jailbird ヴォネガット

まさに、冒頭毎度おなじみの本編開始前のイントロ部分で出てくる、「愛は負けても親切は勝つ」を体現したような小説。高度資本主義の権化であるコングロマリットRAMJACのトップに共産主義革命の残り火が・・・という話の持って行き方がうまい。読んで…

モンティパイソン 3−4

あまり強烈な印象に残るようなコントはなかった。 笑えたやつも、既出のパターンのバリエーションでしかない場合が多かった。 初期衝動の再現はもう無理なのかな、という感じ。なんか赤瀬川源平の「トマソン」終期のような哀しさ。

二人の男と一人の女 ファレリー兄弟

最初の、嫁の出産に立ち会ったら黒人が出てきて苦笑、というシーンがピークだった。昔ネットで流れてた、駒田の子供が黒人というデマのネタ元は、おそらくこれだったんだろう、とか思った。どうでもいいが。三人の息子が、モロステレオタイプな黒人ヒップホ…

バーセルミ 人に言えない習慣、不自然な行為

「バルーン」はまあわかりやすくはあるがよかった。

代書人バートルビー メルヴィル

何をしろと言われても、「せずにすめばありがたいのですが」と言い続け、何もない壁をひたすら見つめ続ける男バートルビーが結局刑務所で死んでいくまでを描いた不気味極まりない小説。素直に読めば、仕事に追われ日々の生活に何ら喜びを感じることができな…

プレーンソング 保坂和志

我々が普段日常的にあまりそこに注意を向けないような、非常に微妙な思考や視線の移動、移り変わりを見事に言語化している。 例えば、ある人との会話がふと記憶によみがえることで、その時の風景の見え方がほんの少し変わったりだとか、会話中に相手のニュア…

ポルノスター 豊田利晃

なんというか、最近失いつつあったものの重要性を再確認させてくれた感じはする。 丸くなったら終わりってこと。 墓碑銘うんぬんは青臭い気もしなくはなかったが、非常によくわかる話でもある。 ジュニアの名演ぶりには驚かされた。 どうでもいいが、本作で…

アンダーカバー・ブラザー

人種差別を嗤うコメディ映画。真剣に性差別や人種差別を告発するような作品よりも、個人的には好き。こういう傾向のもんばっかりでは、それはそれで困るんだろうが。高二病の限界というかなんというか。 インシンクとかBSBを馬鹿にしまっくってるとこが一番…

ボーム オズの魔法使い

一応読んどかないとアレかなと思ったので読んでみた。が、いまいち楽しめず。 風刺もベタすぎるし。考えたら、こういう冒険モノはほとんど何も読まずに育ち、いまだにほとんど読んでいない。指輪物語もゲド戦記もハリーポッターも。 自分が通過してきた冒険…

実録・外道の条件 町田康

そのへんによくいるような、話の全く通じない人達とのすれ違いぶりをコミカルに描いた短編集。多少は実体験がベースになっているのかもしれない。「耳そぎ饅頭」と同じように、本作の各短編も、それぞれかなり似たようなパターンで作られている。 おそらくや…

サマリア キム・ギドク

韓国映画。プロットはなかなかおもしろかったが、そこまで突き抜けるようなもんはなかった。韓国で援助交際をテーマに撮る、というのはなかなかすごいことなのかもしれんが。そうでもないのかな。若い世代でも儒教の影響がでかいんだろうとか考えるのは、日…

小島信夫 抱擁家族

所謂近代的な家族概念にヒビを入れる存在として登場するのがアメリカ人、というのがなんともベタすぎてきつかった。そんなに古い小説でもないんだが、こーいうのは今読んでもな、というのは感じた。正直言って。

谷崎潤一郎 痴人の愛

女性崇拝。ドM。足フェチ。素晴らしい。 着物を着ているがゆえのチラリズムのエロさに関しては、最近観た伊藤深水の美人画を思い出した。綺麗な日本語もよかった。もっと小さい時に読んでおけばボキャブラリーが豊富になっただろうにな、と少し後悔したぐら…

羊をめぐる冒険 村上春樹

キザなノリがどうしても苦手というのはあるが、それを差し引けばまあ出来はいいかもな、と思えた。最初の三部作は結果として特に嫌悪感を閾値以上に抱くこともなく読めた。 彼の異常ともいえる人気はその読みやすさから来ているのかもしれないが、少なくとも…

Aストー ユング

ユングの概説書。訳は河合隼雄。まあまあわかりやすかった。

肉体の門 鈴木清順

戦後間もない日本におけるパンパン・ガール達の逞しい生き様を描いた映画。 当時の対米関係に関する描写からは、多少政治的なメッセージも感じ取れたが、まあ今観てもそこまで、という感じだった。そういうベクトルに関しては。 原色を中心にワンピースの色…

モンティパイソン3−3

自転車で放浪する男を描いた、珍しく三十分フルに使った長編コントはなかなかよかった。 病院のシーンとか中国人をあからさまに馬鹿にしたところとか。エロ本がテーマの回は最低だった。

虹の彼方に 高橋源一郎

初期の作品はキレがあっていい。まさに自由闊達という感じ。極めて真っ当なメタフィクションなんだが、飽きずに読める。ユーモアのセンスもいいし。初期の方が詩的な側面が強かった気がする。全部読んだわけじゃないのでなんともいえんけど。本作で言うと、…

四畳半襖の裏張り 黒薔薇昇天  神代辰巳

四畳半襖の裏張り 完璧。若い見習いの子が膣圧を鍛えるためにアソコに生卵挟んで雑巾がけするところとか、徴兵されちゃう男の早漏ぶりとか、金持ちが子分に、首つるとき女の気持ちよさがわかるっていう迷信がホントかどうか試させるところとか、最高のシーン…

その男、凶暴につき 北野武

初監督作品。脚本は担当していないものの、微妙な間や暴力描写など、随所に他のたけし映画に通ずるような部分があった。逃げている犯人を轢いちゃうシーンとか、ヤクの売人をトイレで脅すシーンなんかがとくに素晴らしかった。ラストは完全に蛇足だった気が…

さよなら、さよなら、ハリウッド ウディアレン

相変わらずという感じ。こういう肩に力のはいっていない感じの喜劇映画ならいくらでも撮れるんだろう、この人は。オチはいくらなんでもそれは無しだろうという気がしたが。