ボルヘス 伝奇集

ちょっとインテリすぎる感じは否めないが、小説で新しい表現をしようとしたら、こういう方向性ぐらいしかないんだろうな、という部分を的確に突いているとは思う。
多くの作品において、偽書も含めた大量の書物へのリファレンスを数多く示すことで、一編の長さがかなり短いにもかかわらず、重厚なテクストを作り上げることに成功しているように思える。偽書の部分は、おそらく南米の同時代に生きた知識人にしか伝わらないユーモアが含まれているんだろうが、そのへんは全く理解できず。聞いたこともない固有名詞が頻出していた。
チェスタトンの影響を受けているという点から見て、ボルヘスも探偵小説というジャンルに注目しているんだろう。なぜこのジャンルがそこまで注目されるのかは今後も考えていきたい問題の一つ。