ゲーテ 若きウェルテルの悩み

修行のために読んだ。思ったより身につまされた、という時点で、まだまだ思いのほかロマンティックラブイデオロギーに意識が汚染されているんだな、と気づいた。
心理的によくないスパイラルにはまっていく部分なんかは、よくわかるが、自分が同じ状況だったとしたら、さすがに自殺はしないよね。その程度の相対化はできているようだ。よかった。

もともと語彙があまり豊かではないのと、美的センスに欠けるというのがあってか、この手の古典を読んでも、詩情だとか比喩の美しさだとか、描写がどうだとか、そういう部分にいまいち良さが感じられない。センスが無いと言ってしまえばそれまでなんだが。話の展開だけでいったらこの話にしろ「地下室の手記」にしろ漱石の「それから」「こころ」にしろみんな一緒じゃん、という感じしかしない。観念地獄でズルズル、っていう。まあある種の普遍性があるから似てくる、ってことなのはわかるんだが。いくらなんでも出てくる奴がみんなひどすぎる気が。女がらみだとしょうがないのかもしれないが、馬鹿じゃねえの、とすら思う。
まあパラダイムが変わってしまっている現代からそういうツッコミをしたところで何の意味もないし反則だというのは重々わかってるんだが。というか、そもそも観念論からはみだしちゃうと文学が成立しない、と言う感じだったのかな、当時は。私小説の伝統うんぬんとかになってくると、自分に把握できる話ではないのでこれ以上はなにも言えんけど。