『肉体女優殺し五人の犯罪者』(1957年/74分) 石井輝男

ここまで何がやりたいのか分からない映画ははじめて観た。すごい。
ストリップ小屋で起きた連続殺人を新聞記者が解決するというストーリーなんだが、脚本があまりにも適当。まったく論理性の欠片もない推理のいい加減さは驚異的。観客は誰一人推理に付いて行けないであろうこと請け合い。
おそらく、ストリップ小屋を舞台になんか一本撮ろうかな、と思いついて適当にぱぱっと撮っただけに違いない。唐突に挟まるダンスシーンでの、やたら執拗なボディラインを舐めるようなカメラワークなんかを観て、そう思った。
一番やばかったのは、小屋のダンス教師がお気に入りのヒロインをレイプしようとするシーン。疲れさせてから襲おう、ってことだったんだろうが、ひたすら「アップ、ダウン!」と叫ぶこと二十回強。その間カメラは目まぐるしく引いたり寄ったり。全く意味がわからんかった。結局襲い始めたとこで記者の邪魔が入るんだが、そこで行為を咎められた教師が一言、「俺が悪いんじゃねえよ、社会が悪いんだよ。」何のツッコミもないまま、次の場面へ。完璧。