嫌われ松子の一生 中島

何かに対して没入する「強度」とユーモアによって、ニヒリズムの超克を図ろうとする物語であるという点においては「下妻」と非常によく似ているのだが、「下妻」がベタな成長物語としては回収し得ない、独特な味とユーモアに溢れていたのに対して、「松子」はあまりにもベタ。クリシェだらけ。この監督特有の、下手をするとくどさに転化しかねない演出の過剰さとの相性も、今作は悪すぎた。ミュージカル調も途中からはうざったいだけだったし、尺が二時間半もあるのも不可解。削れるシーンなんかいくらでもあっただろうに。いかにもCM出身といった感じの畳み掛けるような演出にもかかわらず、中盤以降は冗長。駄作。