自転車吐息 園子温

とりあえず二本観た段階での園子温の印象を一言で言うと、太宰治並の自意識を持った寺山修司、という感じか。
本作は彼自身が監督主演で、舞台は地元。高校時代自主映画を撮っていた二人が、浪人生活を送りつつも、夢をあきらめ切れず煩悶し、以前撮った自主映画の続編を撮り始める、といったストーリー。すさまじいまでの青臭さ。正月の夜、豊橋市内をデカデカと「俺」と書いた旗を振り回して走り回るシーンなんかを見て、さすがにやりすぎなんじゃないかと思った自分はまだまだ甘いのかもしれん。自意識過剰という言葉を使っていいのは、そのぐらいのことは平気でやれる人だけなのかもしれない。
作品の中心的役割を果たす映画内映画、「一塁」はレベル高かった。過剰すぎる自意識が見事に作品内に昇華されていた。
牛乳配達中に壁に「ポロックがここに立っていた」、と書きつけるとことか、準主役が高校時代の同級生の女の家で大学の彼氏と鉢合わせる場面なんかも、イタいけどわかるかも、という感じはした。