高橋源一郎 「君が代は千代に八千代に」

短編集。「あだると」ぐらいからバクシーシ、カンパニー的なアングラAVのような雰囲気が作品中に出てくることが多くなっているな、と感じる。この短編集とか、「恋愛と性交に関するいくつかの物語」とか。「性」に関する容易には言語化できない、相反する感情のようなものに主要な興味が移ってきているのか。
その分初期作品と比べると現代詩的な要素は明らかに少なくなってきている。だからやたら読みやすい。読みやすすぎる気がする。読者に媚び諂っているわけではないんだろうけど。なんとなく近年流行っているライトノベル周辺の文章に近い感じすらした。以前より俗っぽい表現の割合が明らかに増えている。案外それが時代を反映してたりするのかもしれんけど、どうなのかな。

小説の断片がいくつも出てくる「人生」はなかなか斬新でよかった。