フォークダンス 自縛2

音楽補習
まあオーソドックスな感じ。ズラしかた、反転のさせ方はバリエーション豊かだが、ある意味では桶田の典型的なスタイルから抜け出すものではない、という見方もできるだろう。

Bar
ズラし、反転、ナンセンスを自在に使い分ける言語遊戯のセンスとスキルはさすがの一言。後半からはお得意の、言語を使ったゲームで遊ぶ、という流れ。これもレベル高かった。

無人
圧巻のクオリティ。すさまじかった。重層的な構成といい、ズラし、反転の入れ方といい、途中ではいる意味不明な動きといい、完璧。
まずなによりも構成、設定が面白い。村田桶田含む六人が無人島で遭難してしまい、間も無く食料が切れてしまいそうな状況下で争いを始める、という設定の演劇を上映しているのだが、桶田が台本を全く覚えておらず、ちょいちょい動きや台詞のタイミングを間違えてしまったりする、っていう。村田(=ツッコミ)はメタ視点に立ちつつ、どんどん正解からかけ離れていく劇の展開にツッコミを入れ続け、元の軌道になんとか戻そうとするのだが、うまくいかない。観客は、その村田の様子をさらに上の俯瞰的立場から見て笑うことができるし、なおかつ団員たちのズレや反転にも笑うことができる。メタ、ベタ二つのレベルで笑えるという凄い作品だった。
ズラしのパターンも多彩。言葉のレベルだったり、動きのレベルだったり、さらにそこに時間のズレがプラスされてきたり。(タイミングの早すぎる動きなど)。
反復(=天丼)も有効に使ってたし、ナンセンスの要素もあったし、二十分ほどのネタの中に非常に多くの要素が詰込まれていた。途中これは演劇ですよというバラシがあってメタ劇になってからの展開は最高だった。とりあえず今までみたフォークダンスのネタの中では最高峰の出来。間違いなく。

ツッコミの笑いにおける役割については、色々と考えてみると面白いかもしれない。ベルクソンはとりあえず全く触れてなかったし、おそらくパイソンではあまり重要な要素ではなかったような気がするし、ひょっとすると日本の笑いに独特のもんなのかもしれない。
まあ基本としてはズラしや反転をその場で分かりやすく説明し、再提示することで、客に伝わりやすくなる、ってことだと思うけど。

上京へのあこがれ
BGMのズラし方がよかった。あとはそれほどでもなかったかな。

ネタ間のスキットは非常に出来がよかった。ホリプロのネタ見せ、という設定で、審査員の一人が滅茶苦茶言いまくるっていう。全くおもしろくないネタにわざとめちゃくちゃでかい笑いの効果音つけたりとか、やりたい放題って感じで非常に笑わせてもらった。ピン芸人の名前で「肉の旨味」ってのも笑えた。ありえんだろそれは。さすがに。ネタと称して突っ立ってるだけ、ってのもいた。ジョンケージも真っ青。桶田天才。