黒沢清 LOFT

ホラー、恋愛、サスペンスなど様々な要素が織り込まれていたが、よくまとまっていた。昔の作品は未見だが、最近の作品では、恋愛の要素が多少なりとも出てくるのは珍しいことだろう。苦手分野なんだろうと勝手に予想していたが、全然そんなことなさそうだ。今作を観る限り。
相変わらず、かなりオカルト的な要素が強く出ていたのもよかった。
窓から隣をのぞくシーンなんかはモロにヒッチコックの影響が出ちゃってるらしい。本人がインタビューで言っていた。ラスト三十分ぐらいの怒涛の勢いには圧倒された。ハッピーエンドと見せかけてすかすオチも見事。柳下の批評にもあったが、中谷美紀の美しさは奇跡的。撮り方でここまで変わるもんなのか。びっくりした。「ドッペルゲンガー」の永作もやたら綺麗だった気がしたが、それ以上。
ある程度エンタテイメント性がありながらも、それだけに終わらない良作を次々と量産できる、というのは、才能と言ってしまえばそれまでなんだろうが、今の日本映画界には彼以外ほとんどいないだろう。こういう作品を観てしまうと気軽に映画撮ってみようかな、などとは思えなくなる。やはり。