ゴドーを待ちながら サミュエル・ベケット

ゴドーを待ちながら (ベスト・オブ・ベケット)

ゴドーを待ちながら (ベスト・オブ・ベケット)

戯曲。特に第二幕がいい。退屈極まりない日常の無限ループから決して抜け出すことが出来ない現代人に対する風刺。ラッキーが意味不明な語りを繰り返すシーンは、小難しい用語を弄んでいるだけで、何が言いたいのかよくわからん哲学者や批評家への見事な皮肉となっている。作品全体から感じられるなんとも言いようのない閉塞感も、心に迫ってくるものがあった。

「行こう。」と口には出してみても、結局どこへも行けず、ひたすら意味のないおしゃべりに興じている内に、また朝が来る。でもゴドーは来ない。決して。

決して。