ジム・ジャームッシュ Down By Law

ストレンジャー〜」同様、脚本のみをテクストとして読んだら全く面白みを感じないようなストーリー展開にも関わらず、非常に惹き付けられた。
映画としての面白さ、映画ならではの面白さに満ちた作品だった。
具体的には、前作同様構図にも何箇所か反応する部分があったが、それ以上に目立って感じられたのが、テンポ、間の取り方の絶妙さ。
動き、会話、カメラ、全体の間が、彼の作品独特の何とも言いがたい乾いた空気感、雰囲気を生んでいたように思う。彼の映画のそういった空気感は、往々にしてスタイリッシュの一言で片付けられがちであるが、そこにはそんなありがちな言葉に当てはめてしまうことは出来ないような、もっと豊穣な魅力があるのではないだろうか。もっとも、自分にその魅力を上手く説明することの出来る語彙はないのだが。
まあ言い方によっては、言語化しがたい魅力がある、という点こそがまさに映画ならではの面白さに繋がってくる、とも言えるかもしれない。
オフビートな笑いの要素も結構強かったかもしれない。乾いた空気感とよくマッチするユーモアがあったような。