エドワード・ゴーリーの絵本

「おぞましい二人」「うろんな客」「優雅に叱責する自転車」「不幸な子供」「まったき動物園」「敬虔な幼子」「題のない本」、あと何冊か読んだかもしれないが覚えているのはこれぐらい。いずれも柴田元幸の訳文と原文がセットで載っている対訳版。
ゴーリーの作品の一つの特徴として、韻を上手く踏んだリズム感のある文体があげられると思うんだが、その点については、脚韻が踏めないかわりに、短歌調の訳出をすることで、日本語のリズム感を出そうとしていたりと、訳文に工夫が見られるものが多かった。

特に気に入った作品は、「敬虔な幼子」と「不幸な子供」の2つ。

「題のない本」は、原作に出てくる語が全てゴーリーの造語であり、ナンセンスな単語だったんだが、なんとそれに対し柴田氏は、全ての語について、ローマ字読みにして平仮名にするだけ、というとんでもない訳し方をしていた。それで原稿料もらってるんだとしたらいい度胸である。まあ他に訳しようがないといえばないんだろうが、いくらなんでもひどすぎると思った。