LOVE PHANTOM B'Z

B'zのピーク時の曲に関しては大体に当てはまることですが、この曲にもかなり宗教音楽っぽい要素が見られます。明らかに、冒頭一分以上のオーケストラパートが、非常に賛美歌的なニュアンスを持っている気がします。

ただ、宗教的な雰囲気は松本のむせび泣くギターによってすぐさまかき消されてしまうのでどうでもよくて、注目すべきは歌詞です。

愛情と性欲の板挟みに苦しむ男性が、そのダブルバインド状況から抜け出すために、ある種の適応的な対応としてマゾヒズムに傾倒する様子が見事に描かれています。同じテーマを描いた現在連載中の漫画、岡田和人「すんドめ」を読みつつ聴けば、この曲の歌詞がいまだにアクチュアリティをいささかも失っていないことが即座に了解できるはずです。極言してしまえば、恋愛至上主義時代における弱い男性は、マゾヒズム化する以外に生き抜く術がない、とすら言えると思います。

個人的には、エヴァ新劇場版もこの曲の歌詞に近い感じになっていくんではないかと予想しているんですが、どうでしょうかね。楽しみです。