橋本治 日本の行く道

新書の射程を明らかに越えた話題について、限られた紙数で語ろうとしているためか、どうにも全体的に焦点がぼやけているというか、細かい部分を省いて流し書きしているような印象を受けた。

産業革命以降の現代文明の行き詰まりを打開するためには、その前に戻せばいい。日本なら江戸時代を参考に、高層ビルをぶち壊せば都市部への人口集中が緩和され、地方に人と活気が戻る。経済的な面では80年代に貿易戦争に日本は勝ったのだ、と認識し、戦後処理としてこれ以上イケイケドンドンで金儲けに走るのをやめるようにすれば、状況が多少マシになる。

教育面では、古風なイジメっ子がいなくなったことが鍵。とか。

ものすごく適当にまとめると江戸マンセーって感じか。まあ、現状を変えるには過去から学ぶべし、というのは間違いなく正しいとは思う。

ただ、就職について考える材料になるかと思って買ったら、大企業で働くことに罪悪感を感じさせるような内容だったので、読後は複雑な気分になった。