宮沢章夫 よくわからないねじ

劇作家宮沢章夫のエッセイ集。読者は誰もが、日常のほんの些細な出来事でも、視点を少し変えるだけでここまで楽しめるようになるのか、と彼の持つ特異かつユーモアに富んだな視点に驚かずにはいられないだろう。とにかく、視点のズラし方のセンスが抜群。まとまった量を通読すると、さすがにいくつかのパターンに大別できてしまうが、そこまで力を入れて書いているとは思えないエッセイで、ここまでおもしろいものを書ける人は、他にほとんどいないだろう。

文庫版のK谷野によるあとがきは、彼と同じようなことをやろうとして見事にダダ滑りしており、違う意味で笑える。