ファレリー兄弟 愛しのローズマリー

相変わらず上手い。ただ、本作に関してはややもすると「上手すぎる」かな、という印象を受けた。障害者や馬鹿に対する暖かさ、優しさと同じだけの暖かさを、果たして我々男性はデブで不細工な女性に対して向けることなどできるのか、という部分で、少し引っかかるところがあった。もちろん、綺麗にまとめることこそが彼等の持ち味なんだが、この題材だといくら上手くまとまっていてもなんとなく違和感が残ってしまう部分がある。半端な太り方にするぐらいなら思いっ切り振り切ったデブにしたほうが、戯画的にうつって笑いにしやすいだろう、という読みは当たっていたと思うが。
障害者の友人を活躍させたりと、例によって彼等の優しさが感じられる演出が随所にあり、心を揺さぶられた。適度にブラックな要素を取り入れるからこそ、真に優しい、赦しの笑いが生まれてくるのだろう。(乙武さんを障害ネタでいじれるか、という話)
一つの理想として、彼等のような適度な毒を持った、暖かいユーモアを持った人間になりたいな、というのは間違いなくある。