吉田秋生 バナナフィッシュ

三日ほどで全十九巻を一気読み。読み出すと止まらなくなってしまうような緊迫感があった。最初から最後までほとんど弛緩することなく一定レベル以上の緊張感を持続させる、ってのは凄いと想った。何よりも面白いのは、マフィアもののハードボイルドな男の世界が見事に描かれつつも、それがいかにも少女漫画的なプラトニックなやおい描写と無理なく共存しているところ。自分があまりやおい系同人誌を目にしたことがないから、というのもあるのだろうが、マフィアものやヤクザものの男の仁義を少女漫画的な想像力で翻訳するとこんな風になってしまうのか、という驚きがかなりあった。