男はつらいよ

たまたま民放でやっていたのを観た。シリーズ一作目のデジタルリマスター版だったよう。今まで寅さんシリーズを一本通して観た事が一度もないという、非国民にもほどがある状況だったのだが、23にもやってようやく一作品ではあるが観る事ができてよかった。

なんというか、日本はやはり「甘え」と「赦し」の文化というのが基本にあるんだろうなあ、と改めて痛感した。寅さんのようなトリックスターを柔らかに許容する事で成り立っているゆるやかな家族共同体、みたいな。自分を寅さんに重ねて観てしまったというアホすぎる事情も関係しているのかもしれないが、寅さんに対する家族の視線の温かさは大分琴線にふれる感じがあった。ダメだ、馬鹿だ、と言いながらも、どう見ても根底の部分では彼の存在を赦し、愛し、許容しているところが素敵すぎる。

フランス映画を何本観ても出てくる登場人物に一ミリも共感できない自分が、かなりどっぷり寅さんに共感してしまったというのもおもしろかった。右とか左とかそういう問題とは一切関係ない部分で、自分はやっぱり日本人なんだなあ、というところは全力で肯定したいな、などと思った。豊田道倫先生の「日本に生まれてよかった」の精神。

それにしても、渥美清は可愛いこと山の如しだった。説教した直後に一人でこっそり泣いちゃうところとか。萌えた。