ティム・バートン バットマン

コメディ色が強いとか書いてあったから気軽な気持ちで観てしまったがさほど笑えなかった。というか恐かった。ちょうど笑いと恐怖の境界線に近いあたりの表現が多く、おそらく小生の基準ではぎりぎりで恐さを強く感じるような部分があったんだろう。

なんというか、ジョーカーを客観視しきれない感じがあるのが、娯楽として突き放して作品に向き合えなかった理由かと。続編のペンギンには一切共感しなかったからよかったが、これはちょっと、ねえ、というところだった。
ジョーカーがブルースを殺したと思いこんで、女の家から帰っていく場面で、笑顔が固着してしまった自分の表情、及びふるまいに関して、この笑顔は上っ面だけのもので、本当は寂しい気持ちを抱えているんだ、といった発言を、これまた道化じみたふざけた雰囲気でする場面がもっとも恐かった。
日本人だと三池に近い恐怖。他のティムバートン作品からはそんなにそういう空気は感じなかったんだが。

ブルース側は、途中で外傷が明らかになる場面があって、なんでバットマンなどという基地外じみた稼業に手を染めざるを得なくなってしまったのか、がわかりやすく納得させられるつくりになっており、まあどうってことはなかったのだが、やはりジョーカー側が、容易に相対化できない感じだった。整形に対する否認、恐怖の感情も自分はわりと強いほうだという自覚があるが、案外そのへんもからんでいるのか。

このジョーカー役が、演技にのめりこみすぎて?、死んでしまったとか聞いてしまうと、ダークナイトは本当に恐そう。ただそこは恐いもの見たさで観に行くけど、一人はやめたほうがいいかもしれない。

あと、極彩色のおもちゃが破壊、殺戮の限りを尽くす、というイメージはこの人のお得意パターンの一つだと思うが、やっぱりディズニーとかヘンリー・ダーガー、トッド・ショアあたりを想起させるものがある。ディズニーランドも今年中に行きたいな。