川島雄三 喜劇 とんかつ一代

徹頭徹尾ウェルメイドな喜劇に徹しているように見えた一本。
文句のつけどころがない。誰が見てもある程度は笑えて、少しは気分を軽くすることができる、そんな作品だった。自分の中におぼろげなイメージとしてある、一つの理想に最も近いものを観た、という気がした。
客席の受けも相当なものがあった。
とにかくフランキー堺森繁久弥が良い。
森繁演じるとんかつ屋の親友が、屠殺を職業にしている人で、海外の豚殺し選手権で何度も優勝している有名人、という設定だったのが一番笑えた。絶妙な毒のまぶし方。
若いフランス人役が岡田眞澄だったのには驚いた。顔変わりすぎだろう。