バーセルミ 罪深い愉しみ

パロディ短編集。アメリカの当時の事情にそこまで通じていないため、完全には元ネタが理解できない作品がいくつかあり、それらはうまく楽しめなかった。特に政治がらみのネタはついていけんかった。残念ながら。

ただ、元ネタが特定できた作品については、十分笑わせてもらった。芸術批評家を皮肉った作品とか、ドンファンカスタネダをネタにしたもの、後はハウツー本やらアホな女性誌に夢中な人々を痛烈に皮肉った作品やら、革命に燃える若者にツッコミ入れる作品まで、手軽に読めて笑える作品が多かった。

なんとなく、笑いのセンスがモンティパイソンとか押井とかに近い気がしなくもなかった。特に高尚ぶったアカデミズムやお芸術に対する違和感なんかが。教養はあるが、本気で学問についてしたり顔で語るようなことはしない。そういう立ち位置が、自分の理想だからかもしれないが、彼の作品は個人的には大好き。

訳で読んだのでどこまで微妙なニュアンスがつかめているのかわからないが、構造主義以降の知見ともろにリンクするような表現、言葉選びのセンスも非常におもしろかった。高橋源一郎なんかは、おそらく彼にかなりの影響を受けているんだろう。

できれば原書で読みたいものだが、言葉遊び的な要素が入ってくると、普通の文章でも読むのに苦労してるような語彙レベルではとても太刀打ちできないことは明らかなので、なかなか難しいかな。やはり。