マーク・ヴォネガット エデン特急

しばらく前に読んだのだが、何も書いてなかったので今更。
前半のヒッピー生活の描写は非常にディテールがよく書きこまれており、当時のことを想像するにあたって非常に参考になった。衛生面の問題などは特に、理想化されたコミューン生活のイメージを再構成する上で助けになった。再入院を経て最終的に、ケミカルに目覚めて医者になる、という彼の進路も非常におもしろかった。散々トランキライザーはダメだとか言ってたのに、最後には若い患者にトランキライザーの良さを丁寧に説明するようにまでなってしまう、っていう。

年取った元ヒッピーが不埒な生活を送っていた過去を反省する、といったような文脈だと、ラスメイヤーのワイルドパーティーなんかが思い出されるが、あの映画ほど説教臭い感じではなかった。

ドラッグカルチャーを通過した後にケミカル唯物論に到達する、という流れはどこか鶴見済を思わせる部分があり、そういった意味でもかなり共感できる作品だった。