中島敦 山月記

「臆病な自尊心」を墳悶によって飼い太らせてしまった李徴は、内なる獣性(尊大なる羞恥心)に負けて、獣となってしまう。
半端な自意識と自嘲癖を持つ人間が陥りがちな罠とその末路を幻想的な筆致で描いている。
自らの内に潜む狂気(獣性)をいかにして飼い馴らすのか、という最近の興味からみると、なかなか思うところの多い作品だった。