12人の怒れる男

死刑判決を受けた少年を巡って十二人の陪審員が丁々発止の議論を繰り広げる法廷もの映画。ほとんどのシーンが会議室とトイレのみで進行するという、超低予算映画だった。(キャストのギャラは高いのかもしれんが)
十二人の描き分けが非常に上手い。理想的な民主主義の精神を貫くことの素晴らしさと困難さを同時に巧みに描いていた。
所々ユーモアが盛り込まれている部分もあり、笑いつつ観られたが、そろそろ日本でもこの制度が導入されるのかと思うと、とても笑って観られたものではないな、と思った。
果たして本作のような状況におかれた時に、ギリギリのところで主人公のような冷静な判断ができるか、といわれれば、全く自信がない。野球の券があるから早く帰りたいと盛んに主張していたおっさんに近い立場をとっていそうで恐い。誰もがそういった思いを抱くように、あらゆる典型的なタイプの人間を同席させているんだろうから、そういう意味でもよくできた映画だとは思うが。列挙してみても、やる気ない適当な奴、馬鹿な奴、頑固な奴、内気で自分の意見がなかなか言えない奴、差別主義者(人種、世代)、マイノリティなど。こう見ても、きっちりと議論を成り立たせるのはいかに難しいか、っちゅうのを良く描けていると思う。