阿佐田哲也 麻雀放浪記4

ついに完結。坊や哲は勝負の世界から足を洗い、勤め人になっており、この最終巻においては事実上の狂言廻しの役割を果たしているにすぎない。まずそれがなんとも哀しい。哲也とはことなり、時代が変わろうとも決して己の生き方を曲げようとしなかったドサ健までもが、上野を追われてしまう終盤の展開がまた哀しい。対局中ガサ入れにきた警察から逃げた末に、草村で他の三人を探すドサ健の、まるで懲りない姿とともに、小説は終わる。
麻雀場面の中では、青天井ルールを逆手にとってドサ健が三千万点の役を上がりきったところから、それでもなかなか逃げ切れない展開になるあたりが一番読み応えあった。
あとは、ドサ健が孤独と不幸について独白する場面が、最も心に引っかかった。
何でか知らんが、最近7才の時以来十五年ぶりに死ぬのが怖いという感情におそわれることがある。そういうときに本作で描かれるようなアウトサイダーの生き方を見ると、色々と考えさせられる。