檜垣立哉 ドゥルーズ 解けない問いを生きる

小泉さんの本よりは、わかりやすく書かれていた。あれは、入門書っぽさがない本だったが、こちらは真っ当な入門書、という感じ。
哲学史的な位置づけは、大体想像通りだったが、ちゃんとなぞれてよかった。デリダとは似てる部分もあるけど、根本的に向いている方向が違う、というのはわかっていたのだが、具体的にどう違うか知ることができたのは非常に有意義だった。ドゥルーズ(というかガタリに、かもしれない)に共鳴して「構造と力」を書いた浅田彰と、デリダに転移してデビュー作(タイトル忘れた)を書いた東ひろきの違いというか。デリダは、前提が前提なので、否定神学的な部分がどうしても残る、という感じなのかな。まあ知らんけど。

どっちのラインもある種の重要性があるには違いない。僕は個人的にはドゥルーズ側だけど、デリダ側に批判的というわけではない。ドゥルーズもおそらく色々なものに喧嘩売った書き方のほうがわかりやすいだろう、ということでそういうスタイルを選択していただけで、根本のところでは、どうでもいいと思ってたんだと思う。

あとがきのところで、ドゥルーズの人となりが紹介されていて、存在感のない、女性的な人で、妻と子供二人と静かに暮らした生涯で、あんまり引越しもしなかったらしい、と書かれていたのも面白かった。納得しまクリスティーだった。

やっぱりベルクソンは読まなきゃな。めんどいけど。そしてドゥルーズの遺志をつぐには、分子生物学かアストロバイオロジーに進まないといかん。