深沢七郎 千秋楽

ビートたけし浅草キッドの通った浅草フランス座のような、幕間に芸人や踊り子の軽い出し物があるストリップ小屋を舞台にした長編小説。どことなくヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」を思わせるような、捉えどころのない文体が、なかなか面白かったです。自由間接話法を使ってるわけではないような気がするんですが、どうなのか。似たような技法は天然で使ってるかもしれません。一応主人公はいるのですが、小屋の中で、次々と人々が現れては去っていく様子がひたすら描かれるので、小屋が主人公であるかのような感覚に襲われました。余談ですが、彼の長編では、「笛吹川」という小説も非常に好きです。これは、誰かが言っているかもしれませんが、構造がガルシア・マルケス百年の孤独」に良く似ています。そして、僕には「笛吹川」の書かれ方のほうが、日本人にはしっくり来る感じがするように思われます。なんか日本語が変ですがまあ気にしないでください。