ロブ・ミンコフ スチュアート・リトル

シャマランが共同脚本を担当しているということで観た。原作もののようだが、何箇所かシャマラン節を感じるところもあり。以下ネタバレ。

まずはなんといってもreal/fakeの境界が無化されていくところ。御伽噺風の設定をとっているためなかなか意識の前面には現れてこないが、養子の鼠、ペットの猫も含めての家族、としてスチュアート家が描かれることが奇妙といえば奇妙。この映画における家族という共同体は、血のつながりはもちろんのこと、人間であるかどうかすら関係なく形成される。しかし、そんなスチュアート家の結束、絆は、徹底してベタな、いわゆる理想的なアメリカ家庭の形をとる。(しょっちゅうホームパーティーがあり、そのたびに親戚一同が集合)さらに複雑なのは、リトルの実の親と名乗る鼠夫婦が現れ、リトルが連れ去られた後。彼等は脅されてリトルの親である「ふり」をしていたのだが、ある時点でリトルに情が移ってしまい、真実を告げる。それを聞いたリトルが、goodbye fake father,fake motherという身もふたもない別れの挨拶をしてスチュアート家へと戻っていき、夫婦がそれを見送る場面では、なぜか逆説的に、それまでどこか他人行儀だった三匹の間に、家族的な感情が芽生えているかのように見えた。
ジオラマや船といった箱庭的な世界と関わっていくことでリトルがスチュアート家の息子と徐々に打ち解けていくあたりもまあいかにもという感じ。
総合的には、子供向けということで、悪ふざけはかなり抑え気味で、わかりやすいカタルシスを得られるように作られていた。他作品で言うと、「翼のない天使」に近い雰囲気。

細かいところだと、いちいち変わるリトルの衣装がえらく可愛かったのと、ツンデレ猫スノーベルがいい味出していた。