2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

高村光太郎 智恵子抄

シネフィルにしか理解できないポイントがてんこ盛りの映画は、昔から何となく好きになれない。なぜだろうか。もちろん、自力でそういうポイントに気づくことが出来ない故の僻み根性があるのは間違いない。ただ、それだけでもないような気がする。中原と阿部…

中原昌也、阿部和重 シネマの記憶喪失

対談本。観てない映画の記事は飛ばして立ち読み。 引っかかるところがあったのは、「ライフ・アクアティック」、「LOFT」あたりと、後はトッドソロンズ、ウディアレン批判のくだり。 ライフ〜、LOFTは誉め方がやっぱりシネフィル臭いな、という感じがしてや…

禅と高田純次

今、世は空前の(と言って問題があるなら、少なくとも越中詩朗ブームと同程度の)高田純次ブームである。なんでか知らないが、還暦を機に突如として各種メディアに露出しまくっている。基本的にどこにおいても彼の発言や身振りは変わらないのだが、一体なぜ…

道元 正法眼蔵 読み始めたい 読んでない公案集も ミステリ 集中的に読みたい ポー乱歩チェスタトンラブクラフトあたり

キム・ギドク リアル・フィクション

日本初公開ということで、レイトショーで鑑賞。 冒頭の広場のシーンから画がやたらガチャガチャしている感じがして、撮影の荒さから、初期の作品かなと思って見ていたが、後で調べてみたらすでに国際的評価が確立した後の作品だった。その時点であえて手持ち…

黒沢清 叫

LOFTのミイラに続き、「幽霊」というホラー映画の王道中の王道のモチーフを使いながらも、やはり黒沢作品、一筋縄ではいかない重層的な作りになっていた。随所に捻りが加えてあった。もちろんどれも面白い仕掛けだったが、やや無理矢理ひねり出したような雰…

石井輝男 盲獣VS一寸法師

遺作。まず画面の驚異的な安っぽさに脱帽。スタッフ、俳優陣ともに経験の浅い若手や自らの教え子達を多く起用した、という背景も絡んでいるのだろうが、それを鑑みても異常としか言いようがない安っぽさ。盲獣パートの地下室のセットなんか特にひどかった。 …

vow2

今読んでもやっぱり面白い。ネタに対する編集部のコメントには何となく時代を感じるところがあったが、ネタ自体の鮮度は現在の視点から見てもさほど落ちていないと思う。

岩明均 骨の音

短編集。表題作「骨の音」は塚本晋也っぽい感じでよかった。あとはデビュー直後の二作品もなかなか。

川端康成 伊豆の踊り子

届かないからいいんだ、ヤれないからいいんだ、だから少女なんだ、って感じなのか。 屈折してるけど、その屈折がなかったらこういう作品には昇華されんわな、とは思う。

青山真治 レイクサイドマーダーケース

傑作。彼の映画の中では一番好きかも。 終盤何度かドンデン返しがあることで単純な推理ものとしての魅力も出ていたし、お受験問題をテーマに家族の問題も絡めつつ社会風刺の要素が盛り込まれていたのもよかった。紋切り型に埋め尽くされて、さも安定している…

都築響一 精子宮

閉館に際して鳥羽国際秘宝館未来館を買い取った都築氏が未来館の内容を撮影した写真集。 B級SF的な世界観が伝わってくる。ハイアート/ロウアートの境界、そもそもどこからが芸術なのか、何を持って芸術としての価値があると評価されるのか、といった線引きの…

DMC

音楽や雑誌の嗜好性で人間性を測るような、差異化のゲームに敏感な高二病的感覚に溢れた漫画。まあ非常に笑えるんだけども、建設的ではないよね。明らかに。 救いがあるとすればなんだかんだで作者がメタルを馬鹿にしていない、ってところか。 メタルを愛し…

川端康成 雪国

風景から、駒子の所作、肉体的特徴に至るまで、あらゆる描写の見事さは筆舌に尽くしがたいものがあった。 また、島村と駒子とのやり取りはとにかく切なすぎて、読んでいてたまらない気持ちになった。私的な事情と重ね合わせて必要以上に感情移入してしまった…

相米慎二 ションベン・ライダー

冒頭の8分間に渡る長回しをはじめとして、今作もこだわりが感じられる長回しシーンが随所にあった。川でヤクザと子供達が追いかけっこする横移動のシーンなんかは中でも見事だった。別ルートをたどっていた先生とブルースが途中でフレームインしてくるあた…

よしながふみ 大奥

男女逆転大奥。 まあジェンダーパニックが主題となると、なんとなく方向性は読めてしまうんだが、細部までよく出来ているので先が楽しみな作品ではある。

森下裕美 大阪ハムレット

浪花節と言ってしまえばそれまでなんだが、とにかく描き方が上手い。 オムニバス方式になっていて、どの作品もあくまでも最終的にはポジティブな結末に持っていくのだが、その過程で登場人物達の暗い部分、狡さや醜さを避けることなくきっちりと描いているか…

昼ドラ 母親失格

「牡丹と薔薇」以来、実に三年ぶりに昼ドラにはまっている。千賀子と弘美という二人の幼馴染と、アホ男保、千賀子と保の間の娘千弘の四人のもつれにもつれる関係を中心に、裏切りに次ぐ裏切りの中、復縁と絶縁を繰り返すアホ達が、ひたすら幸せを求めてもが…