2007-01-01から1年間の記事一覧

ラス・メイヤー 「チェリー・ハリー&ラクウェル」

ジョージ・A・ロメロ 「ゾンビ Dawn of the Dead」

おばあちゃん 追加

> 〈姥捨て〉は伝説であって事実ではない。事実の真相は、〈姥捨て〉は常に既に伝説であることとして伝承されてきたということである。では、何故、そのように伝承されるという事実が成立してきたのかと問うことができる。他方、周知のように、別の系統にお…

おばあちゃん論に関するメモ

楢山節考、松井孝典VS石原、「おばあちゃんの知恵袋」という言葉が示すもの、「コンピューターおばあちゃん」とはなにか

岡田尊氏「誇大自己症候群」

なかなか面白い本でした。言ってることは間違っていないと思うのですが、人が幼児的全能感を持ち続けるという現象を、症候群と名づけて、病気扱いし、かなり雑な方法で分類していること自体に、彼の全能感があらわれている感じがしました。まあそのあたりを…

ミシェル・ウェルベック 「ある島の可能性」

ウェルベックの小説は一応訳が出ているものは全部読んでいるのですが、今までは、BEエリス「アメリカン・サイコ」等と同様、「出てくる登場人物は全員嫌いだけど、どこかに否定しきれない、自分と共通する部分がある」ために、読むたびに嫌悪感を強く感じ…

ふくしま政美 聖マッスル

過剰なまでの筋肉描写を、早期に父親と別れて暮らすこととなった作者の来歴と関連付けて語っている論が掲載されていたが、愚の骨頂だと思う。野暮なこと言わずに黙って読んで圧倒されるべき漫画。読むとほんの少し筋トレがしたくなる。

ロバート・ロドリゲス フロム・ダスク・ティル・ドーン

途中で映画のジャンルが変わる、ってのは斬新だった。ポップコーン、ピザ、ハンバーガーをバカ食いし、コーラと酒を飲みまくる毎日を送っている趣味の悪いアメリカ人中年男性が見た悪夢をそのまま映画にしたような感じだった。バーで唐突に仲間になるベトナ…

ジョン・カーペンター エスケープ・フロム・LA

音楽、美術、衣装なども含めて全てが悪趣味という凄まじい映画でした。それでいてキッチュな感じを狙って出しているようないやらしさが微塵も感じられなかったのが素晴らしかったです。そのうち「悪趣味百科」でも傍らに置きつつ、ケツでも掻きながら再見し…

桂米朝 どうらんの幸助

文楽よりは好きかな。ただどうも基本的に上方落語よりは東京の噺家のほうがしっくりくる。幼少期は関西にいたんだが、あまり笑いの感覚は刷り込まれていないのかも。

山本英夫 殺し屋1

名越さんがブレーンで参加していると知って読んだ。1と垣原の対立はまあ露骨すぎるぐらいにSMなんだけど、ヤクザの「仁義」と同性愛的な「純愛」を対置する、という手法は、石井隆「GONIN」なんかと共鳴する部分が非常に大きいと思った。読んでるか知…

オーソン・ウェルズ 市民ケーン

いかにもアメリカ、って感じ。 パンフォーカスがどうとか言われても、今観たところでなにか衝撃があるわけでもなし。 これがいつになっても歴史上の名画、みたいな企画やるたびに三位以内にはいってくるというのは、アメリカ的な精神の病み方がよく出ている…

流れ解散と挨拶 フロイトの糸巻き機がなんたら

フロイトがよく出す喩えで、子供が母親の不在を受け入れるためにする訓練として、ヨーヨーみたいなのを見えなくなるところに投げては、手に戻すという過程をfort daだったか忘れたが、ようは「いない」、「いた」の繰り返しとして捉え、少しずつ自立していく…

ドゥルーズ シネマ 映画と自由間接話法 映画のカメラワークで、例えば人物の主観的ショットから、状況を俯瞰するショットに滑らかに繋がり、再び人物主観のショットへ戻る、と言った中で会話が続くシーンなんかが、文法的にいうと、自由間接話法に近い、とい…

宇野邦一 ドゥルーズ 流動の哲学

これで日本人の書いたドゥルーズ入門書をとりあえず三冊読んだことになるわけですが、この本が一番アカデミックな感じでした。いい意味で言えば正統派なんでしょうが、真面目すぎるというか、用語はやたらと難解なものを使用している割に、発想の飛躍力が足…

ジミー・ウォング 片腕カンフー対空飛ぶギロチン

香港のどうしようもないハイブリッド感が満載というか、とにかく突っ込む気力すら失せるような謎展開のオンパレード。明らかにインド人じゃないヨガの使い手の手は、いかんとも形容しがたいほど中途半端に伸びるし、ギロチンは片腕なだけで誰でも殺すから、…

クエンティン・タランティーノ ジャッキー・ブラウン

タランティーノは日本的な要素の消化の仕方が気に入らなかったりで、あまり好きな監督ではないのだが、「ジャッキーブラウン」は非常にツボにはまった。実に面白かった。金を通じてしか信頼関係が築けないところとか、いかにもアメリカ的な、疑心暗鬼と恐怖…

吉本隆明 共同幻想論

最近は感覚的に好きなもの、自分に向いているものがわかってきたので、そのあたりは上手く取捨選択しつつ、読む本、観る映画を決めているのですが、たまには肌にあわなそうな本も読んでみるか、買っちゃったし、ということで長年積読状態だったこの本を読ん…

岡村靖幸 純愛カウンセリング

対談集。名越康文氏、岸田秀氏、二丁目のゲイの人、スワッピング夫婦、あたりとの 対話が特に面白かったです。岡村ちゃんは純粋すぎるがゆえにずっと苦しみ続けている、というのがよくわかる本でした。いみじくも名越氏が指摘しているように、その苦しみから…

リチャード・エルフマン フォービデン・ゾーン

偏差値ゼロのミュージカル映画でした。登場人物が全員白痴以下で素晴らしかったです。 特に教室のシーンは白眉。腹が痛くなるほど笑った。

ジャック・ヒル コフィー

ブラック・セクスプロイテーション映画。ほぼあらゆる登場人物が死ぬのですが、皆実にステキな死に方をしていました。ある悪役の、これ以上間抜けな顔が存在するのかという程に間抜けな死に顔がアップになった瞬間、場内の誰かが何の遠慮もなくデカイ音で屁…

アラン・シリトー 長距離走者の孤独

春樹マラソン本の流れで読んでみました。 長距離を走る、ということに徐々に興味が涌いてきています。

ドゥーガル・ディクソン他「フューチャー・イズ・ワイルド」

人類亡き後の未来に生きる生態系を妄想するという、スケールのでかい本。 独我論とは完全に無縁の世界観が素晴らしい。個々の動物云々以前に、そもそも今温暖化がどうしたとか騒いでるけど、500万年後に氷河期来て哺乳類はほぼ全滅!とか面白すぎます。 具体…

ジャ・ジャンクー 東

画家を追ったドキュメンタリー。いまいち乗れず。 「無用」のデザイナー同様、自己の中だけで作品制作を完結させない姿勢、観察者の視点を作品に導入しているあたりが、ジャンクー自身の映画に対する発想と共鳴しているところなんでしょうが、画家のいかにも…

吉田健一 酒宴

酒に酔う内に、時間や空間の感覚が崩れていき、飲んでいる相手や、自分を含めたあらゆる人、モノの同一性が消滅し、あらゆるものが交換可能になっていく様子が、氏独特の変幻自在の文体で書かれている短編。文章の流麗さに嫉妬すると同時に強く心を動かされ…

深沢七郎 千秋楽

ビートたけしや浅草キッドの通った浅草フランス座のような、幕間に芸人や踊り子の軽い出し物があるストリップ小屋を舞台にした長編小説。どことなくヴァージニア・ウルフ「ダロウェイ夫人」を思わせるような、捉えどころのない文体が、なかなか面白かったで…

今日kamipro最新号を立ち読みしたのですが、森達也氏、菊地成孔氏らが亀田問題、秋山問題を中心に、朝青龍、沢尻エリカ、安部元首相なども射程に入れつつ、「バッシング論」を展開しており、楽しく読みました。菊地さんが、秋山、亀田両者に絡めて、おそらく…

廣瀬純 美味しい料理の哲学

人文系の本としては異常なぐらい楽しく読めた。 「と」「そして」で二つの一見何の共通点もないかのように見える二つのものを華麗に結びつける手さばきが見事。見習いたい。文章に嫉妬した。

三池崇史 極道恐怖大劇場 牛頭

終始、様々な断片に症候の濃厚な徴候が現れていると見せかけて、恐怖を煽っておいて、全部ギャグで落とす、という感じで、なんというか、リンチの映画をもとにコントを作ったような映画でした。とにかくリンチと似た部分が多いのですが、恐怖より笑いが勝っ…

武富健治 「掃除当番」

短編集。なんというか独特の味がある感じ。笑えるものと恐いものが半々ぐらい。 おそらくどの作品も笑いと恐怖の境界線を鋭く抉っているからだと思われる。 個人的には表題作が最も印象的だった。たかが掃除当番の話だから、と設定の時点である程度笑える舞…